多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

過去5年で最多!北海道でヒグマの目撃情報が急増

北海道各地でヒグマの目撃情報が急増しています。今年の1~5月までの通報件数は、ここ5年で最多の480件以上です。

先日岩見沢市では、体長1.6mのヒグマが住宅のすぐそばに設置されていた罠にかかりました。これはヒグマが住宅地の近くまで来ているという証拠です。

6月19日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)では、北海道大学 大学院獣医学研究院教授で、「ヒグマの会」の会長を務める坪田敏男先生に、ヒグマの現状について伺いました。

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30年で2~3倍に増加

「今年に限らずここ数年、ヒグマが増えているなっていうのを実感しています」と坪田先生。
この30年間でヒグマの数は2~3倍まで増加。北海道の発表では、2020年度で1万頭以上いるとされているそうです。

ここ数年、札幌市、旭川市、帯広市といった市街地にもヒグマが出るようになりました。これはヒグマの増加と、その生息域が少しずつ拡大しているという事実を表しています。

この理由について「急に増えたということではなく、目立ってきた」と坪田先生。

1960年代に始まった「春グマ駆除」を、1990年に廃止したこともひとつとして考えられます。「春グマ駆除」は、夏の被害を未然に防ぐため、冬眠から覚めたクマを駆除する取り組みです。

市街地に姿を表すようになったヒグマ。行政では専門家を市町村に配置するなどの話し合いが、少しずつ行われている状況だといいます。

市民に、ヒグマに対する知識やヒグマへの対応を啓発することが大切です。

「春グマ駆除」再開の狙い

ヒグマは北海道のシンボル動物。さらに自然界の生態系を考えると、むやみやたらに駆除すれば良いというものでもありません。とはいえ、人身被害が起こることは問題です。

人里に出てくるのを防ぐ対策のひとつとして「春グマ駆除」を再開して、ヒグマの個体を一定数減らす。またハンターがヒグマを追いかけることによって、ヒグマに「人の怖さを教える」狙いもあるということです。

70~80年代の大量伐採で、クマのエサは一時期かなり減少しました。それ以降は森林の生態系を保全するという風潮に変わったため、今急激にエサ資源が悪くなっているわけではありません。

山の自然をいかに守るか、その一環としてヒグマの存在があります。人間中心ではなく、野生動物も含めた生態系で保全していく必要があるということです。

「ヒグマがいる」という心構えを持つ

これからのシーズン、北海道には全国からの観光客が多く訪れます。

「自然の中に入る方には、“どこにでもヒグマがいる”というふうに認識していただいて」と坪田先生。

山に入るときには、鈴を持って行く、見通しの悪いところは声を出して歩くなど、「ヒグマがいる」という心構えを持つことが大切だということです。

「人の存在を先にクマに知らせれば、クマの方で避けてくれるので。そういうところを注意していただきたいと思います」と坪田先生。

北海道を訪れる際は、「どこにでもヒグマがいる」ことを理解した上で、ということのようです。
(minto)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2023年06月19日07時20分~抜粋

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