多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

なぜ?アジア大会の競泳・飛び込みが名古屋開催を断念

今月5日、2026年に愛知県内で開催される「アジア・アジアパラ競技大会」組織委員会は、競技種目のうち、競泳・飛び込みと馬術の名古屋での開催を断念したと発表。
15日には東京へ会場を変更することが組織委員会で了承されました。

15日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)では、CBCの“アジア大会博士”こと若狭敬一アナウンサーが、この問題について解説しました。

[この番組の画像一覧を見る]

そもそも「アジア大会」って何?

まずは、「アジア大会」のおさらいから。

アジア大会は「アジア版のオリンピック」。「OCA(アジア・オリンピック評議会)」が主催する4年に一度の大会で、アジア45の国と地域が参加します。

第1回は第二次世界大戦後の1951年、インドのニューデリーで開催されました。「戦争によって引き裂かれたアジア諸国の絆をスポーツを通じて取り戻したい」という願いを込めた大会でした。

日本では過去2回、1958年に東京、1994年に広島で開催され、2026年の愛知大会が第20回。日本で3回目に行われるアジア大会です。

レインボープールの5つの問題

今回問題となったのは、競泳と飛び込みで使う予定だった「レインボープール(名古屋市総合体育館)」。公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会に直接取材した若狭によると、このレインボープールには5つの問題があったといいます。

1.サブプールが浅い、2.プールサイドが狭い、3.ドライランドが狭い、4.ウォームアッププールとメインプールの距離が遠い、5.部屋が少ない。OCAから、この5つが指摘されたそうです。

レインボープールのサブプールは水深1.2m。しかし国際水泳連盟の規則では1.35mが必要だというのです。

メインプールは2mの深さがあって問題ありませんが、「メインとサブは同様の施設であること」というルールもあり、サブプールの浅さが問題となってしまいました。

プールサイドが狭すぎる

2つ目はプールサイドの問題。飛び込み用のプールのプールサイドが2.9mしかないことです。

「プールサイドは何m以上」という規則は特にありませんが、開催が予定されている「東京アクアティクスセンター」は、最も短いところで7.4mもあります。

比較すると、レインボープールの飛び込みプールの横のプールサイドはかなり狭いと言わざるを得ません。

この部分にこだわる理由は、選手の動線と審判の席。選手の動線と観客席との近さもあり、危険と判断されてしまったということです。

小さい、遠い、少ない

3つ目のドライランドは、陸上で飛び込み競技の練習をするスペース。空中の姿勢や柔軟運動といった、飛び込みの前の練習をする場所です。

ドライランドも細かい規則はありませんが、やはりその小ささが問題となったようです。

4つ目は、仮設される予定のウォームアッププールとメインプールの距離が150mあるという点。あまりにも「遠すぎる」という問題です。

5つ目は、部屋の数。ドーピング検査の部屋、報道陣用のプレスルーム、そして大会関係者などを呼ぶVIPルームなど、国際大会ではかなり多くの部屋が必要ですが、これが少ないということです。

一部競技の東京開催はアリ?

「これって『アジア大会を誘致するぞ!』という、その段階でわかってなかったのかね?」と素朴な疑問を述べる多田しげお。

開催が決定したのは2016年。しかしOCAと国際水泳連盟の視察が行われたのは去年でした。

改修工事の試算をしたところ、およそ174億円かかる計算に。経費がかからないスマートな大会を志している愛知県と名古屋市からすると、とても現実的ではなかったということです。

「愛知県で、名古屋でやるアジア大会なのに、『一部の競技は東京でやります』とか、そういうことはありなんですか?」と多田はまたまた、若狭に素朴な疑問をぶつけます。

大切なのは「選手ファースト」

若狭「ある意味『ならざるを得ない』ということなんでしょうね。選手ファーストを考えると、パフォーマンスが十分発揮できない場所にこだわるよりは、別の場所でもやはりいいパフォーマンスが出せることというのを優先したという形になりましたね」

多田「なんか寂しいなっていう感じもしますけど、しょうがないのかね」

CBCの取材に対し、一部の政治家は「2016年に開催が決まったのに、この事態になったということは、愛知県側の調整不足は否めない」とコメントしているそうです。

若狭「悪く言うと、お粗末といえばお粗末な話なんですが、最悪の事態は回避したという顛末ですね」

多田「そういう風に前向きに考えましょう、と(笑)」

あくまでも主役は選手。無理に愛知・名古屋でやるよりは、ということであったようです。
(minto)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
この記事をで聴く

2023年06月15日07時24分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報