マグロの輸出からスタート
東洋水産では「マルちゃん」のブランドでカップラーメンなどを数多く販売し、2011年から販売している「マルちゃん正麺」は本格的な味が楽しめると人気を博しています。
今ではインスタント麺のイメージが強いですが、東洋水産は「水産」という名前のとおり、もともと冷凍マグロの輸出を手掛けていました。
では、マグロの輸出からどのようにして、現在のような業態に変わっていったのでしょうか?
東洋水産の創業は1953年(昭和28年)で、創業者は森和夫氏。
冷凍マグロの輸出業が順調に進んだ後、魚を売るだけではなく、マグロを原料にした魚肉ハムや魚肉ソーセージなどの食品加工業にも進出しました。
ただ、当時は加工だと魚が保存しやすいということから特に夏場によく売れていたのですが、冬場にも売れる食品を開発する必要があると考えて目を付けたのが、即席めんでした。
水産業のこだわり
そして、1961年(昭和36年)にインスタントラーメン袋めんの商品化に成功。その商品名は「マルト印ラーメン味付け」。
この「マルト」はどのような意味なのでしょうか?
東洋水産はもともとがマグロ輸出業ということで、魚市場で取引が行われていました。
魚市場では企業は符牒やニックネームで呼ばれることが多かったのですが、東洋水産は○を書いて東洋水産の「ト」で「マルト」と呼ばれていました。
それを商品名に付けたのですが、売れていくに従ってさらに世間に広く浸透させるため商品をブランド化した方がいいという話になり、かわいらしい「マルちゃん」と名付けました。
その後、「赤いきつね」や「緑のたぬき」など、さまざまなインスタント麺を販売するようになりました。
この2つの商品のこだわりはダシ。
東洋水産は魚の取り扱いから出発しているため、かつおぶしにこだわることで、人気を集めていきました。
グループ工場でかつおぶしを粉砕加工したものを、そのまま使っているそうです。
東洋水産は今年の3月で70周年を迎えました。
よくインスタント麺は日本の国民食といわれますが、今や日本に限らず世界各国で親しまれる食べ物にまで成長しています。
今後も私たちにとってなじみ深い食品として食べ続けていきそうです。
(岡本)