多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

アメリカで大規模な銀行が相次ぎ破綻…日本に影響はある?

今年はアメリカで3月にシルバーゲート銀行、シリコンバレー銀行、シグネチャー銀行と破綻が相次いでいます。

さらに今月はファースト・リパブリック銀行が経営破綻し、総資産はなんと2,200億ドル(約30兆円)以上で、史上2番目の破綻となってしまいました。

これだけ銀行が破綻すると、世界経済への影響が気になるところです。

5月17日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、神戸大学経済経営研究所教授で名古屋大学客員教授の家森信善先生に、なぜこれだけ大きな銀行が破綻しているのか、そして日本にも影響があるのかどうか、解説いただきました。

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銀行が破綻する理由

まずは銀行が破綻するまでの流れについて、家森先生に伺いました。

銀行は預かったお金を貸したり投資したりして利益を上げ、預金者に金利を払うというのが基本的なビジネスモデル。
銀行が破綻しているのは、運用で大きな損失が出たことが主な原因ですが、なぜ失敗しているのでしょうか?

現在アメリカはインフレが激しい状況ですが、国は金利を上げる政策を行います。
ここで「金利が上がるなら、人や企業にお金を貸している銀行は儲かるのでは?」との疑問が浮かびます。
しかし家森先生は「ある程度時間がかかり、貸出金利が上がるより前に、持っている債券の価値が下がるという現象が起きる」と語ります。

例えば金利が1%の時、1%の金利が付く金融商品が100万円で売られていて、銀行が100万円で買ったとします。

ところがその後金利が10%になると、他に利回りが良い金融商品がいくらでも出回るため、1%の金融商品を100万円で買ってくれる人は誰もいなくなります。
そのため銀行は「60万円でも良いから買って欲しい」と言ったりして、売れたとしても40万円の損を出してしまいます。

つまり、金利が上がると銀行が持っている債券の価値が下がり、損が膨らんでいるというわけです。

破綻までのスピードが速い

ただ、債券はそのまま持ち続ければ満期となり元本が返ってくるので、そのまま持っていても計算上損をしているだけで、実際に損をしているわけではなく、これだけで銀行はつぶれません。

しかし銀行の経営状況を知った人たちが、「あの銀行は大きな損をしているから、もし他に多くの人が預金を引き出したら、自分の預金が引き出せなくなるのではないか?」と思い、一刻も早く引き出そうと考える人が増えます。
そうなると本当に銀行からお金がなくなって破綻に至ります。

この話は昔からあり、俗に「取り付け騒ぎ」といわれています。

また、銀行側もお金を用意しようと思って、満期を迎える前に債券をお金に変えてしまうと、計算上ではなく本当に損が発生します。

万が一破綻しても、アメリカでは25万ドル(約3,400万円)までは保護されますが、大きな法人などは25万ドル程度だと少ないと思って、何とか引き出そうとするわけです。

さらにSNSで「私は〇〇銀行でお金を引き出した」といった話は広まりやすい上に、昔と違ってネットでいつでもすぐに他の銀行口座へ振り替えることができるため、破綻までのスピードが速いそうです。

デジタル時代の取り付け騒ぎのことを現在では「デジタルバンクラン」と呼ぶそうです。

日本の銀行は大丈夫?

ここで気になるのが日本の銀行。これについて家森先生は「日本では同じことが起こりにくい」と答えました。

その理由のひとつは、日本の預金制度では保証される額が1,000万円とアメリカよりは少ないこと。
一方で決済用預金は全額保証となっていますので、企業などの大口顧客がいきなり逃げていく心配はないためです。

2つ目は日本の銀行は個人預金のウエイトが高いのですが、破綻騒ぎがあったとしても、いきなり預金額が大きく動くとは見られないためです。

そして3つ目は、アメリカでは損を出している銀行が多いのではないかという不安が広がっていますが、日本ではそこまで銀行に対して不安を持っていないことも挙げられます。

それなら「日本は安泰」と言えるのでしょうか?家森先生は警鐘を鳴らします。

かつてアメリカで大きな金融機関が倒産した「リーマンショック」が起きた際、日本の金融機関が相次いで潰れることはありませんでした。
しかし、日本経済にはその後何年も悪影響を及ぼしました。
やはり油断はできないようです。
(岡本)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2023年05月17日07時21分~抜粋

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