多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

内臓を吐いて逃げる?ナマコの驚くべき生態とは

ここ5年ほどで1kg当たりの金額が約5倍に高騰したこともあり、悪質な密漁が問題となっているナマコ。
法律を改正して罰則が大幅に強化されたものの、密漁は止まりません。

5月16日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、この「ナマコ」について、弘前大学 農学生命科学部助教 吉田渉先生に伺いました。

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大きいものは30cmにも!

ナマコは「棘皮(きょくひ)動物」で、ヒトデやウニの仲間。日本の周りだけでも200種類あります。
今回の放送で取り上げたのは、代表的な「マナマコ」について。

吉田先生「マナマコの色は色彩の変異が大きく、赤、黒、緑。目立つだけでもこのように多種多様な色がいます。大きさは小さいもので10cm、大きいもので20~30cmです」

身体にあるイボイボは、這って歩くための管足(かんそく)が変化したものです。

エサは「デトリタス」

マナマコはどんなものを食べるのでしょうか。

吉田先生「海の底を這っているので、海の底にあるものを食べています。口の周りの触手という器官に、エサの有機物を付着させて、それを口に運び込んでいます」

エサは「デトリタス」と呼ばれる、生物の死がい。微生物などに分解されて粉々になったものです。

もうひとつは、周りの石や砂。糞からは砂や砂利がたくさん出てきますが、栄養になるようなものはほとんど見られないそうです。

内臓を吐き出して身を守る

ナマコの身体は棒状で、片方が口、もう片方が肛門。非常に単純なつくりです。

吉田先生「人間と同じように口があって、肛門があります。その中を消化管が通っていて、その中でいろいろな栄養分が消化・吸収されます。非常に単純な構造ですね」

ナマコは「腸」の部分だけでできている生物。その内臓を自ら体外へ吐き出すこともあるといいます。

吉田先生「彼らが身を守る手段として、内臓を吐き出す仕組みを持っています。これは外敵に襲われた時に出す仕組みです。ナマコに刺激を与えると、内臓を吐き出して逃げるという現象があります」

エサなしで半年生きられる

その後、ナマコの内臓は元通りに再生します。これは栄養を吸収・消化するために、腸の再生が必要になるからです。

腸が再生するまでの期間は、もちろん何も食べることができません。

吉田先生「そこがナマコのすごいところで、腸がある状態でも平気で半年ぐらいはエサなしで生きていられるんですね」

消化器官だけの生物でありながら、半年もの間、何も食べなくても生きていられるそうです。

激しすぎる繁殖行動

普段はゆっくりとしか動かないナマコですが、繁殖行動の時には驚くほど動きが活発になるといいます。

吉田先生「始めは水槽の中を這い回っているんですけど、産卵近くなると急に上の方にのぼり始めます。頭の方にある生殖口を振りながら、卵や精子を水中に出します。かなり激しい産卵行動をしていますね」

この動きは、見ている人から「おおー!」と歓声が上がるほどの激しいものなんだとか。

海中で受精をして産まれたナマコは、1mmほどのサイズの時からすでにナマコの形をしています。

ナマコのように生きたい

まだまだ驚くべきことはあります。ナマコはなんと、冬眠をするそうです。

吉田先生「ナマコは温帯に生息しているので、夏に暑くなると極限状態やエサの少なさで体調が悪くなります。どうしても動かなくなって、だらりとしてしまう。これがクマの冬眠と同じような現象、夏に寝るということですね」

夏場の暑さを耐え忍んで、やりすごす。これがナマコの生理的な現象です。

環境の変化に耐え、人からの捕獲にも耐えてきたナマコについて、吉田先生はこう語ります。

吉田先生「そういう意味でナマコは、過去の歴史を見ると相当いろいろな試練に耐えるように設計されてきている、非常に強い生き物なのかなと思っています。
ナマコから逆に教わっているみたいな感じで。ナマコのように生きれればと思っています(笑)」
(minto)
 
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2023年05月15日07時19分~抜粋

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