多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

なぜ?愛知県が「ラーケーション」を全国初導入

「ラーケーション」が全国で初めて、愛知県で導入されることになりました。

これは学習・ラーニングの「ラー」と、休暇・バケーションの「ケーション」を組み合わせた言葉。公立の小中高校で、平日に年間3日の休みが取れるという取り組みです。

4月20日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)では、この「ラーケーション」について、CBC論説室の北辻利寿解説委員が解説しました。

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イメージは「平日に旅行を」

愛知県が今年の2学期から全国に先駆けてスタートするラーケーション。
家族の休みに合わせてこどもが学校を休んでも、3日間までは欠席扱いにならないというものです。

この休みをどう過ごすかという企画をして、保護者とともに郊外での学習活動を行うという取り組みです。

多田「お父さん、お母さんが仕事の休みを取りました。それに合わせて小中高生も学校を休んで、一緒に旅行をしましょうっていうようなイメージですよね」

北辻「そうなんですよ。平日に旅行をしましょう、という」

多田「北海道へ行きます、海外旅行へ行きます。何でもOKなんですよね」

北辻「何でもいいです。ただし、どんな活動をするかという目的は必要なんです」

教育界ではなく経済界

保護者が「ウチの子はこの日休みます」と届け出を学校に出す必要がありますが、その目的は「旅行」でもいいということです。

北辻「北海道でおいしい郷土料理を食べてきます、という目的でもOK。海外旅行もいいんですよ。ハワイへ行って、フラダンスを見てきてもいいし」

多田「本当に旅行でOKなんですね」

北辻「目的があればいい」

この画期的な取り組み。なぜ愛知県が全国に先んじて行うに至ったのでしょうか。
このラーケーション、一見教育界の話に思えますが、実は「経済界」が大きく関わっていたのです。

トヨタカレンダーの存在

先月の末、愛知県でラーケーションをスタートするための署名式が行われました。

署名したのは、教育界からは教育長のみ。あとは名古屋商工会議所などから4人、そして連合愛知から1人。6人中5人が経済界と労働界の人だったのです。

ここに愛知県“ならでは”がありました。

愛知県といえば、トヨタグループ。トヨタには「トヨタカレンダー」なるものがあるのです。

トヨタカレンダーは、祝日は通常通りに出勤をして、年末年始やGWなどに振り替えて連休を取るシステムです。

北辻「生産性をあげるためにトヨタはそういうカレンダーを作っていて。平日に休んでるんですよ」

多田「トヨタカレンダーの人たちの休みは、世間でいう平日。そこで旅行をしようと思ってもこどもは学校。こどもも学校を休めるようにしましょう、ということなんですね!」

平日に家族で活動しやすくなる。これがラーケーションの背景にあるというわけです。

欠席分は自習?

しかし、ひとつ懸念点があります。学校を欠席扱いにならないとはいえ、授業はその間進んでしまいます。この分の勉強はどう取り返すのでしょうか。

北辻「ラーケーションのあとに、自習することでOKと言われてる」

多田「『後から勉強しとけよ!』(笑)。これって、完全に経済界の主導で、学校のことはまあ適当にやっとけよ!というようなニュアンスですよね」

北辻「にじみ出ますね」

ラーケーションは学校への報告義務はなく、続けて取っても、バラバラで取ってもかまいません。
いつ取るかは家族で相談して決めること。あくまでも家族主導の休暇ということです。

ラーケーションの問題点

多田「そうなるとラーケーションのメリットはいっぱいあるんでしょうね」

北辻「ワークライフバランスが促進されてきますね。保護者も仕事を休む、こどもたちも一緒に参加して、自由に休みを選べるというメリットですね」

愛知県主導の取り組みですが、名古屋市は除外されています。この背景には、「クラスの大半が同じタイミングでラーケーションに入ってしまうと、授業がなりたたない」という問題点があるということです。

多田「こうなったらね、学校もトヨタカレンダーにしたら(笑)なんて突拍子もないような意見も出てくるかもしれないんで」

また、体育や理科の実験、家庭科の調理実習など、自習には向かない授業はどうするのか、という問題もあるようです。

ラーケーションがこれから全国的に広がるかどうかはまだまだ未知数のようです。
(minto)
 
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2023年04月20日07時17分~抜粋

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