多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

財政難の赤十字国際委員会、人員削減に踏み切った背景とは?

ジュネーブ共同が報じたところによると、4月4日、「赤十字」として知られる「赤十字国際委員会」(ICRC)が、今後1年間に全世界で職員約1500人を削減し、350ある拠点のうち20カ所を閉鎖する方針を明らかにしました。

4月18日放送のCBCラジオ『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、この赤十字の財政難について、CBC論説室の後藤克幸特別解説委員が説明します。

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アンリ・デュナン創設

そもそも「赤十字」とはどういう組織なのでしょう?

後藤「1863年、国際紛争が続く中、傷ついた人たちを敵も味方も関係なく救いたいという活動を続けていた事業家の方が設立した組織です。

本部はジュネーブ、設立者はスイス人のアンリ・デュナンです。

ノーベル賞が創設された、1901年第一回の平和賞も受賞しています。国際的に評価されている組織です」

活動の範囲

現在の赤十字はどういった活動をしているのでしょうか?

後藤「世界中で100カ国以上の国、地域で医療の支援、食料の支援、水の支援などの活動にあたっています。職員数は世界で2万人の方が働いています」

赤十字国際委員会は各国が加盟しているのでしょうか?

後藤「はい。活動資金も加盟してる国、各国政府が出す拠出金によって賄われています。拠出金が多い順から、アメリカ、ドイツ、スイス、イギリス、EU…日本は9位です」

援助の増大化

なぜいま赤十字は財政難に陥っているのでしょうか?

後藤「世界で紛争が増えている、援助するニーズは増大の一途を辿っています。

例えばシリアは内戦状態が11年以上続いています。難民キャンプも増えていて、終わりのない医療支援や生活支援が続いています。
アフリカではエチオピア、コンゴなどで紛争が長期化していて、非常に大掛かりな支援を続けているという状況です。

そこに去年のウクライナ戦争が加わった。
この特徴は病院や発電所、水道設備など生活インフラの破壊が激しいために、赤十字としても通信回線を復旧させる技術者とか、電気設備、水道設備など、多様な技術者を派遣しての復旧対策支援にあたっている。
この人員が非常に多く割かれるようになってきた。

さらに最近追い打ちをかけているのが、気候変動による大災害が多くなっている。大きな洪水、干ばつなどへの食糧支援をしている。年を追うごとに仕事が増えているという現状があります」

1,500人の人員削減

将来的に赤十字はどうなるのでしょうか?

後藤「とりあえずは予算を削減しないとやっていけないので、600億円ほど、今年から来年にかけて予算を削減しますと発表がありました。

職員はいま2万人いますが、新規採用をしばらく停止し、今後退職する人を補充しないなどの方法で、世界で1,500人ほどの職員の数を減らしたいという方針を示しています。
世界の拠点350カ所のうち20カ所を閉鎖せざるを得ないそうです。

各国政府に拠出金を積み増して欲しいと協力を訴えていますが、厳しい状況が続いているのが現状です」

一番は平和を!

それ以上に基本的なことは戦争、紛争をなくして平和であること。さらには気候変動をなんとか止めることですね。

後藤「赤十字の財政悪化を止める一番重要な対策は、紛争の1日も早い終結、平和の構築への努力。その意味では日本が果たすべき役割は今後大きくなっていくのではと思います」

多田は「赤十字の財政難の向こうには平和がない、安定した気候がないということですね」とまとめました。
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2023年04月18日07時18分~抜粋

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