多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

故人の「遺留金」が全国で21億円!超高齢社会の日本が抱える問題点とは

総務省の調査で、市区町村が独自に保管している「遺留金」が全国に総額約21億円以上あることがわかりました。

遺留金とは「身寄りのない人が亡くなった場合に、その人が遺したお金」です。

4月17日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、CBCの論説室の後藤克幸特別解説委員が、遺留金から見えてくる問題点について解説しました。

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火葬費用を充当

遺留金はなぜ年々増えているのでしょうか?
後藤解説委員によると、キーワードは「超高齢社会」そして「核家族化」です。

パートナーに先立たれた、身寄りのない一人暮らしのお年寄りが増加している。これが日本の実態です。

親元を離れ、遠くで暮らすこどもたちと疎遠になり、家族のつながりが希薄になる人が増えています。相続人がはっきりわからなくなってしまっているのです。

身寄りのないお年寄りが亡くなると、その後はどういう手続きが進むのでしょうか?

まずはきちんと火葬をする必要がありますが、この場合は亡くなった地域の市町村が行うことになっています。
火葬費用は市町村が立て替えます。ただし亡くなった方に遺留金があった場合は、その中から火葬費用を充当することが認められています。

それでも遺留金が残った場合、自治体は相続人を日本中から探す必要があります。このお金は返却しないと法的に問題があります。

相続人を探す負担

相続人を探すことは、事務量の負担を考えると難しいケースばかり。
つまり、これから身寄りのないお年寄りが増えれば増えるほど、市町村の負担も増えるということです。

遺留金は正式な予算として考えることはできないため、自治体で保管する必要があります。

火葬を自治体が行った場合、遺留金で足りれば問題はありませんが、問題は足りない時、そして全くない時です。
この場合はやはり自治体が相続人に請求するのが筋ですが、そう簡単には見つかりません。

総務省はこの実態調査をし、先日結果を公表しました。

7割の自治体が知らない仕組み

実はこの遺留金、本来であれば法務局に手続きをして預けるのが正しい手順。相続人が見つからないまま10年が経過すると時効となり、国庫に入る仕組みがあります。

しかし実態調査では、全国の市町村の7割がこの仕組みを知らなかったことを理由に、役場の金庫の中にかなり長期間保管していたというのです。

このルールが徹底されていなかったことが大きな問題。総務省は自治体や法務局に、制度の仕組みを周知したり、勉強したりするように改善を勧告しました。

自治体の役場の金庫に長期間遺留金を保管しているため、中には盗難事件が起こって問題になっている事例もあります。
これを防ぐためにも、きちんとした手続きを取ることが重要です。

法務局の仕事にしてもらうことによって、自治体は大変な仕事から解消されるというわけです。

遺留金の増加から見えてくること

遺留金がクローズアップされたことからわかる一番大きな問題は、身寄りのない一人暮らしのお年寄りが亡くなってしまった後をどうするのか、ということです。

後藤解説委員によると、理想は「元気なうちにエンディングノートを書いておくこと」。
これは、預貯金はどこにあり、こどもたちはどこにいる、というメモです。

しかし、実際にエンディングノートを残す人はなかなかいません。もっと社会が変わる必要があるということです。

遺留金が増えていることから見えてくる、日本の一断面でした。
(minto)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2023年04月17日07時18分~抜粋

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