多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

毛髪の情報量はすごい!犯罪捜査でわかる意外なこと

薬物に関する捜査でよく証拠として使われると言われているのが、人間の毛髪。

細い髪の毛から、実際にどのようなことがわかるのでしょうか?

4月10日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、名古屋市立大学医学研究科 法医学分野 准教授 加藤秀章さんに話を伺いました。

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少し摂取しただけでも検出可能

まずは毛髪から検出される物質について伺いました。

加藤先生「薬物の類、例えば覚醒剤とか睡眠薬、その他にはナトリウムやマグネシウムといったミネラル、カドミウムとかいった金属類が検出可能です」

カドミウムや水銀などは、かつて日本が深刻な公害で汚染されていた頃に問題となりました。

では、これらの物質は大量に摂取したから髪の毛にまで残るのかというとそうではなく、微量でも残るのだそうです。

加藤先生「薬物は微量でも検出可能です。一般的に使われている睡眠薬を常用量1回投与しただけで、1本の髪の毛から検出可能ということが申し上げられます」

いつまで髪の毛に残る?

覚醒剤の取り調べをする際に、よく尿から検出されたという話が出ますが、尿は排出されるもの。
なぜ髪の毛には残り続けるのでしょうか?

加藤先生「髪の毛というのは、90%ぐらいがケラチンという非常に安定的なタンパク質からできてるわけですね。
『安定』というのは化学物質などにさらされてもなかなか変性しにくい。閉じ込めたものを保護するような作用があるということなんです。

ケラチンの中に薬物が結合しますと、例えばシャンプーなどで洗髪しても髪の毛から薬物が溶け出すようなことはないわけです。
髪の毛というのは長く残っていますので、髪の毛が抜け落ちるまではその薬物が髪の毛から検出されるということになるわけです」

髪の毛は1か月で1cmほど伸びるそうですので、髪の毛が12cmある人は1年前の薬物摂取も判明するというわけです。

DNA鑑定にも使用

犯罪捜査で髪の毛が使われることといえば、もうひとつ「DNA鑑定」がありますが、さらに詳しく伺ってみました。

加藤先生「髪の毛自体は主成分がケラチンというタンパク質ですので、遺伝情報は持っていないんですけれども、その髪の毛の毛根部に細胞分裂をする毛母細胞が付いておりますと、細胞の中には遺伝情報を持つDNAがありますので、DNA検査が可能です。

その髪の毛が誰のものなのか、DNA鑑定することができると、個人が特定できたり、あるいは病気になりやすいなどの個人の遺伝情報もわかるということになります」

健康診断が簡単になるかも

さらに現在は毛髪でさらに多くのことがわかるようです。

加藤先生「まだまだ研究段階なんですけれども、近年髪の毛を使ってガンなどの疾患や健康状態を把握しようとする研究が行われておりまして、今後、毛髪を用いた健康診断や健康管理が可能になるかもしれません。

自分の置かれた環境を正しく記録しているものだというふうに思います」

人間には数え切れないほどたくさんの髪の毛がありますが、その人の情報が多く詰まっているものとも言えそうです。
(岡本)
 
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2023年04月10日07時20分~抜粋

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