多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

家畜の飼育が不要になる?「代替食品」の未来予想図

植物性の原料を使い、見た目や味、食感を肉などの動物性の食品に似せ加工した食品「代替食品」が進化しています。この代替食品は、近い将来訪れるといわれている世界的な食糧不足を救う意味合いも持つものです。

3月29日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)では、CBC論説室の後藤克幸特別解説委員がこの「代替食品」について解説しました。

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代替食品が誕生した3つの理由

代替食品とは、肉などの動物性の食品を植物原料を使って加工し、置き換えた食品のことです。

身近なところでは、白身魚のすり身で作るカニカマや、海藻から抽出した液体で作る人工イクラなど。味や食感が本物にそっくりな代替食品の技術は、著しく進歩しています。

代替食品が登場した背景には、大きく分けて3つの理由があります。

1つ目は、まずはさまざまな理由で動物タンパクを食べられない人のため。例えばベジタリアンなどの生活信条の理由、宗教上の理由、アレルギーなどの健康上の理由が挙げられます。

2つ目は人口増加による食糧不足に対応するため。

3つ目は環境を守るため。ウシやブタを畜産として飼育するためには、エサとなる大量の穀物を消費します。その穀物を作るために森林が伐採されるなどの環境破壊が深刻化しているといわれているのです。

拡大する代替食品市場

実は100年以上の歴史があるといわれている代替食品は、主に肉食文化のアメリカで発達してきました。

1900年代初頭、コーンフレークで有名なケロッグ社が、小麦や牛乳から肉によく似た硬さの食品の開発に成功。

その後登場したのは、大豆から抽出したタンパク質を束ねて、肉の繊維のようなものにする技術。この技術で、肉に似た食感を再現できるようになりました。

2000年代になると食感や風味が本物にそっくりなハンバーグ用の「大豆ミート」が開発され、現在もスーパーで販売されています。

日本における代替食品の市場は拡大を遂げています。2019年頃には15億円程の市場だったものが、2022年は25億円に。

最近では、新しいたんぱく食品として「食べるコオロギ」などの昆虫食にも注目が集まっています。

課題は「健康への影響と安全性」

いいことだらけに思える代替食品ですが、後藤解説委員によると一番の課題は「健康への影響と安全性」とのこと。

代替食品は、本物に近づけるためにさまざまな加工の過程を必要とします。

後藤「加工の際に、添加物もいろいろと加わっています。ちゃんと情報公開をして表示をして、私たちが安心して食べられるようにしてほしいです」

大豆そのままでは肉にはならないので、もちろん何かを加えて肉のようにする加工を施しています。それが本当に安全なものなのかどうか、しっかりとした情報公開の必要があるということです。

日本に課せられた「代替魚」の開発

日本にはもともと欧米のような肉食文化ではなく、肉に変わるたんぱく食として大豆を食べてきた文化があります。例えば豆腐で作る「がんもどき」は、鳥の「雁(がん)」の肉に似ていることからその名が付いた、立派な代替食品です。

「和食」はユネスコの無形文化遺産にも認定されている、健康食品として世界的にも評価が高い食事です。

日本は今後、和食をベースとした「代替魚」の開発を求められています。水産資源の保護、また新しい日本の代替食品の付加価値として世界が注目しているということです。

最近ではコンニャクイモで作ったまぐろのさしみや、植物たんぱくを原料としたツナも登場しているんだとか。

多田「代替食というと肉を思い浮かべますけど、魚だってそういったものを開発していくべきだと」

後藤「これは日本に課せられた役割かもしれないですね」

肉で肉を作る「細胞培養」

現在は植物性のたんぱく質を加工して肉に似せることが主流ですが、バイオテクノロジーで「細胞培養」という技術も進歩しています

培養肉とは、肉の細胞を培養して作った肉のこと。つまり「肉から肉を作る」ということです。

後藤「細胞培養で肉を作れるようになれば、ウシやブタやニワトリなどの家畜の飼育は未来は不要になるのではないか、ともいわれています」

高級すぎて日常的に食すことができないフォアグラやキャビアも、近い将来は「培養フォアグラ」「培養キャビア」として、わたしたちの周りに流通するかもしれません。
こういった夢の技術も開発中であるということです。
(minto)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2023年03月29日07時19分~抜粋

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