2月9日、臓器移植を無許可であっせんし、臓器移植法に違反した疑いで62歳の男性が逮捕、送検されました。
患者からは移植費用として相場の2倍ほど受け取っていたのではないかと問題視されています。
2月13日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)では、日本における臓器移植のルールについて、長年医療問題を取材しているCBC特別解説委員の後藤克幸が解説しました。
臓器移植の無許可あっせん摘発…背景に日本独特の事情が
臓器移植とは何か
まずは臓器移植とは何かという、根本的なことからおさらいしてみましょう。
臓器移植とは、身体の中にあるさまざまな臓器が病気やケガなどで機能を失った場合、他の人と臓器を取り替えて健康を回復するという医療行為のことです。
ただし、移植以外に命を救う方法がない場合に限られています。
日本では1980年(昭和55年)に角膜と腎臓の移植に関する法律ができ、1997年(平成9年)にいわゆる脳死された方からの臓器移植を可能にする法律ができました。
これにより、心臓や肝臓、肺の移植ができるようになりましたが、当時は15歳以上で本人が書面で意思表示をしていることが条件だったため、移植できるケースは少ないものでした。
そのため、2010年(平成22年)に改正臓器移植法が施行され、本人の意思がわからなくても家族が承諾すれば提供が可能となったため、15歳未満のこどもも移植が可能となりました。
臓器移植とは、身体の中にあるさまざまな臓器が病気やケガなどで機能を失った場合、他の人と臓器を取り替えて健康を回復するという医療行為のことです。
ただし、移植以外に命を救う方法がない場合に限られています。
日本では1980年(昭和55年)に角膜と腎臓の移植に関する法律ができ、1997年(平成9年)にいわゆる脳死された方からの臓器移植を可能にする法律ができました。
これにより、心臓や肝臓、肺の移植ができるようになりましたが、当時は15歳以上で本人が書面で意思表示をしていることが条件だったため、移植できるケースは少ないものでした。
そのため、2010年(平成22年)に改正臓器移植法が施行され、本人の意思がわからなくても家族が承諾すれば提供が可能となったため、15歳未満のこどもも移植が可能となりました。
臓器移植で禁止されていること
では、臓器移植法で禁じられていることはあるのでしょうか?
後藤「今回のニュースにもなっているような、臓器を経済取引の対象とすることを禁止。
これはなぜかというと、臓器移植に値段がついてお金で取引されると、移植を受ける機会に公平性が失われますよね。
お金持ちはお金を積むという形になる、これは国の内外を問わず禁止されています」
臓器売買につながるため、禁止されているというわけですね。
後藤「移植はやはり、善意と任意による臓器提供が基本で、最善の手を尽くした治療を受けても、どうしても愛する家族の命が助からないとわかった時に、移植でしか助からない病に苦しんでいる人がいて、その命を助けられる医療技術があって。
そのことによって家族の臓器が誰かの身体の中で命をつないでいって、生き続けられるならと願う気持ち、無償の愛によって支えられる医療です」
今回の事件では、日本で困っている患者さんがいるものの、相場よりも高い値段でやり取りをして臓器売買につながっているという点で、禁止行為の疑いがかけられているわけです。
後藤「今回のニュースにもなっているような、臓器を経済取引の対象とすることを禁止。
これはなぜかというと、臓器移植に値段がついてお金で取引されると、移植を受ける機会に公平性が失われますよね。
お金持ちはお金を積むという形になる、これは国の内外を問わず禁止されています」
臓器売買につながるため、禁止されているというわけですね。
後藤「移植はやはり、善意と任意による臓器提供が基本で、最善の手を尽くした治療を受けても、どうしても愛する家族の命が助からないとわかった時に、移植でしか助からない病に苦しんでいる人がいて、その命を助けられる医療技術があって。
そのことによって家族の臓器が誰かの身体の中で命をつないでいって、生き続けられるならと願う気持ち、無償の愛によって支えられる医療です」
今回の事件では、日本で困っている患者さんがいるものの、相場よりも高い値段でやり取りをして臓器売買につながっているという点で、禁止行為の疑いがかけられているわけです。
日本で臓器移植が進まない
現在、日本で臓器移植を希望している方は、公益社団法人日本臓器移植ネットワークの調べによれば、およそ1万5千人。
それに対して、日本国内で実際に移植が受けられる人は年間400人前後です。
外国と比べてみると、アメリカでは人口100万人あたり41人の臓器提供があり、イギリスは20人ほど、韓国は8人ほどですが、日本は0.6人とかなり少ない状況です。
なぜ日本は極端に少ないのでしょうか?
後藤「欧米では移植は医療の進歩であって、命の贈り物『GIFT OF LIFE』というキャンペーンの元で、移植を受けた新しい医療技術によって恩恵を受けて元気になった患者さんが次々メディアに登場して、『泳げるようになりました』『スポーツにも参加できます』という歴史を積み重ねてきてるんです。
日本の場合不幸なことに、最初の心臓移植が1968年(昭和43年)に行われた事例で、脳死判定とか患者の選択に疑惑があがって、移植というのは『疑惑の医療』という医療不信につながっていった歴史があるんですね。
日本人の心の問題として、脳死に対する不安や移植に対する負のイメージが強い」
それに対して、日本国内で実際に移植が受けられる人は年間400人前後です。
外国と比べてみると、アメリカでは人口100万人あたり41人の臓器提供があり、イギリスは20人ほど、韓国は8人ほどですが、日本は0.6人とかなり少ない状況です。
なぜ日本は極端に少ないのでしょうか?
後藤「欧米では移植は医療の進歩であって、命の贈り物『GIFT OF LIFE』というキャンペーンの元で、移植を受けた新しい医療技術によって恩恵を受けて元気になった患者さんが次々メディアに登場して、『泳げるようになりました』『スポーツにも参加できます』という歴史を積み重ねてきてるんです。
日本の場合不幸なことに、最初の心臓移植が1968年(昭和43年)に行われた事例で、脳死判定とか患者の選択に疑惑があがって、移植というのは『疑惑の医療』という医療不信につながっていった歴史があるんですね。
日本人の心の問題として、脳死に対する不安や移植に対する負のイメージが強い」
日本人の死生観
日本で移植が進まないことのひとつに、最近の医療事情も影響を及ぼしているようです。
後藤「コロナ禍で救急医療の現場が非常にひっ迫している中で、救急医療現場の負担が非常に大きすぎるという問題もあります。
最善の救命医療をするというドクターたちが、一方でどうしても助からない場合に移植で救える命があります、その可能性と臓器提供のお願いの両方をしなくてはいけない。
ここのところを考え直す必要があると思っています」
また今も日本人には「脳死」という考え方が、馴染まない事情もあるようです。
後藤「欧米人は人間の本質は脳であって、考える故に人はここにあるという考え方なのに対して、日本人は心というと胸を押さえます。
心臓が止まることで人間は旅立っていくというイメージ。
脳が機能を全面的に失ってしまうと、やがて呼吸ができなくなって心臓も止まる。
一連の流れなんですけど、脳が亡くなった段階で移植医療へ行くということに対して、心臓がまだ生きているという中では、なかなか死を受け入れづらいという日本人の死生観があります」
もちろん死生観に対して他人が反対することはできませんが、ご家族の方のケアなどを行う臓器移植コーディネーターを増やすなど、臓器移植の環境をもっと整備する必要はあるようです。
(岡本)
後藤「コロナ禍で救急医療の現場が非常にひっ迫している中で、救急医療現場の負担が非常に大きすぎるという問題もあります。
最善の救命医療をするというドクターたちが、一方でどうしても助からない場合に移植で救える命があります、その可能性と臓器提供のお願いの両方をしなくてはいけない。
ここのところを考え直す必要があると思っています」
また今も日本人には「脳死」という考え方が、馴染まない事情もあるようです。
後藤「欧米人は人間の本質は脳であって、考える故に人はここにあるという考え方なのに対して、日本人は心というと胸を押さえます。
心臓が止まることで人間は旅立っていくというイメージ。
脳が機能を全面的に失ってしまうと、やがて呼吸ができなくなって心臓も止まる。
一連の流れなんですけど、脳が亡くなった段階で移植医療へ行くということに対して、心臓がまだ生きているという中では、なかなか死を受け入れづらいという日本人の死生観があります」
もちろん死生観に対して他人が反対することはできませんが、ご家族の方のケアなどを行う臓器移植コーディネーターを増やすなど、臓器移植の環境をもっと整備する必要はあるようです。
(岡本)
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