「基準値が高い」と言われたら…
泌尿器科の病気で、特に男性特有の病気というと前立腺の病気です。
前立腺の状態を知るための方法として、PSA検診があります。
前立腺がんを早期発見するための最も有効な検査だと言われている「PSA検診」は採血するだけの手軽な検査ですが、今回は検査結果の診断について。
神谷先生「一般的には4.0ng/ml以下が基準値です。
私たち専門医は年齢階層別基準値を用いていて、64歳以下3.0、65-69歳は3.5、70歳以上4.0を基準値としています。
64歳以下で3.0を超えたら、一度受診をしてください」
「基準値が高い」と言われたら、前立腺がんの疑いがあるのでしょうか?
神谷先生「10未満でも30-40%の方にがんが見つかります。PSA=10以上だと検査でがんが見つかる割合は60%以上です。
ただし、以前の値との比較・前立腺の大きさ・年齢などでその値を十分に評価する必要があります」
実際はどのような検査?
前立腺がんなのかどうかの診断する方法は?
神谷先生「まずはMRI検査を受けていただくのが良いです。近年はPI-RADSといって画像診断を標準化して放射線医と泌尿器科の意思疎通を図っています。
他の要因でPSAが上昇しているかを見るために、PSA再検する場合があります」
がんだと確定する検査はどのようなものですか?
神谷先生「MRIでがんが疑われた場合、それは臨床的に意義のあるがんの可能性が高いので、確定診断のために前立腺生検を行います。
前立腺に直接針を刺して組織を取って、あやしい部位を含めて系統的に生検を行います。これは麻酔をかけなくてもできます。
ただし、PSAが上がる原因には、がん以外にも要因はありますので、十分問診を行ってその上でMRIや生検をしますので、数値が高いからと言ってみんながみんな、MRIや生検に進むことはありません」
大同病院・泌尿器科、主任部長の神谷浩行先生が「PSA検診の結果、高いと言われたら?」について解説しました。
(新海 優・Yu Shinkai)