多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

なんでも値段が上がる中、なぜ自賠責の保険料は下がる?

自賠責の保険料がこの4月から1割前後下がる見込みだそうです。

正式名称は自動車損害賠償責任保険で、自動車や二輪車の所有者に加入が義務付けられています。

物価高などでさまざまな値段が上がる中でうれしいニュースといえますが、なぜこのタイミングで保険料が下がるのでしょうか。

1月12日放送のCBCラジオ『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、CBC論説室の後藤克幸特別解説委員が自賠責保険について解説しました。

[この番組の画像一覧を見る]

必ず加入しなければならない保険

まずは自賠責保険の成り立ちからおさらいしましょう。

戦後に自動車の保有台数が急増し、交通事故が増えていったことで社会問題になりました。

当時は保険制度がなく、被害に遭った方が何の補償も受けられなかったため、被害者や遺族の方が困窮してしまうことに。

その被害者を救済するために、1955年(昭和30年)に自賠責保険という強制的に加入させる制度が定められました。
自賠責保険への加入は義務ですので、加入しなければ1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられ、即座に免停処分を受けます。

自動車を購入する場合、強制的な自賠責とは別に任意保険というものもありますが、自賠責のほうが補償の範囲は狭いものです。

自賠責がカバーするのは人身事故だけが対象で、任意保険は自賠責では足りない物損事故の対応や、事故を起こした側の治療費もカバーされます。

そのため、自賠責は最低限必要な保険といえます。

任意保険の注意すべき点

自賠責保険では亡くなられた方に対して、どれぐらい補償されるのでしょうか。

金額は制度で決められていて、死亡させた場合は被害者1人につき3,000万円、ケガの場合は120万円など、細かく決められています。

また、自賠責保険と任意保険は独立しているわけではなく、連動しているそうです。

後藤「任意保険に加入していて無制限という契約をしていたとしても、支払われる保険金は自賠責保険の補償範囲を超えた金額のみということは、あまり知られていないんですね」

例えば損害賠償の裁判で1億円の支払いが命じられた場合、無制限の任意保険で支払われるのは7,000万円分のみ。

加入の義務があるため、自賠責保険に加入しないという人はいないはずですが、仮に「無制限の任意保険さえ入っていれば大丈夫」と思い、自賠責保険に未加入の場合、3,000万円は支払わなければなりません。

自賠責と任意、自動車保険を二重に払っているのは無駄だというわけではありません。

保険料が減る原因は?

冒頭のお話に戻しますと、自賠責保険の保険料は金融庁が決めていますが、なぜ4月から下がる見込みなのでしょうか。

後藤「自賠責保険というのは制度設計上、損失や利益を出してはいけないという仕組みになっていまして、交通事故が減って亡くなる方やケガをする方が減ってくると、全体の保険金の支払いも減ってきますよね。

そうすると、保険金の支払いを賄うための保険料もプラマイゼロになるように値下がりしてくという仕組みなんです」

日本の交通事故の件数は2004年(平成16年)がピークで95万件を超えていましたが、その後は減少が続き、2020年には37万件あまりと3分の1程度にまで減少。
死者数も2004年の7,000件と比較すると、最新のデータでは2022年が2,600件あまりとかなり減っています。

交通事故が減ったのは自動ブレーキなどの安全運転技術が進歩したこともあり、今後さらに事故の件数が減って、自賠責の保険料も減るかもしれません。
(岡本)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
この記事をで聴く

2023年01月12日07時20分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報