多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

主治医からの正しい情報を得るのが先決!「脳腫瘍」の発見と治療

専門医が身近な病気のことをわかりやすく解説する『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』(CBCラジオ)のコーナー「健康で生きる」。



12月のテーマは「脳神経外科の病気」です。


28日の放送では大同病院・脳神経外科の辻内先生が「脳腫瘍」について解説します。

聞き手は多田しげおです。

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脳腫瘍とは?

辻内先生が担当する脳神経外科は「脳外科」とも呼ばれ、脳・脊髄・神経を専門に診断・治療する診療科です。脳卒中などの脳血管障害、頭部外傷、脳腫瘍などの診察・手術を行います。

このうち「脳腫瘍」とはどういう病気なのでしょうか?

辻内先生「脳腫瘍とは、脳みそが収まっている頭蓋骨の内側の部分にできる『できもの』のことです」

脳腫瘍にはふたつの種類があるそうです。
頭の中にもともとある神経や膜から発生する「原発性脳腫瘍」、そして他の臓器の悪性腫瘍が飛んできた「転移性脳腫瘍」です。

まずひとつ目の「転移性脳腫瘍」について。

辻内先生「原発性脳腫瘍とは、頭蓋骨の内側にある脳もしくは脳周辺の組織から発生した腫瘍のことを言います。

頭蓋骨の内側と言ってもその発生元は様々で、脳腫瘍を専門にしている医師でも覚えきれないほどたくさんあり、100種類以上に分類されています。

比較的頻度の高いものとしては、脳の神経細胞を支えている組織から発生するグリオーマ、脳を包んでいる膜組織から発生する髄膜腫、ホルモンを出す組織である下垂体から発生する下垂体腺腫などが挙げられます」

肺がんからの転移がおよそ半分

続いて転移性脳腫瘍について尋ねました。

辻内先生「腫瘍細胞がリンパの流れや血液の流れに乗って他の臓器に流れ着き、そこで増殖することを『転移』と言います。

転移性脳腫瘍とは、他の臓器でできた『がん』が血液の流れに乗るなどして脳に辿り着き、脳の中に新たな病巣を作った状態です」

どこから転移することが多いのでしょうか?

辻内先生「肺がんが約50%を占め、圧倒的に多いです。次に多いのは乳がんで約10%です」

脳腫瘍に特徴的な症状は何でしょうか?

辻内先生「これがあったら脳腫瘍、と言えるだけの決定的な症状はありませんが、比較的多く見られるのは持続する頭痛と食欲の低下、嘔吐などです。

また腫瘍のできた場所によって、手足の麻痺や言葉の出にくさ、目の見えにくさや記憶障害などが出ることもあります。

時にはけいれんなどのてんかん発作が生じることや、分泌されたホルモンによる症状が出現することもあります」

さまざまな治療方法

検査の方法はどのようなものでしょうか?

辻内先生「一般的には頭部CTや頭部MRI等の検査を行います。補助的に採血などの検査で診断をより確かなものにする場合もあります。

ただし、どのような種類の腫瘍か画像検査だけでは確定できないことも多く、その場合は治療方法を決めるために、組織を採取する目的で生検術などの手術をお勧めすることもあります」

治療についても尋ねました。

辻内先生「腫瘍の種類によって、手術で全摘出する必要があるもの、放射線治療が良く効くもの、化学療法が有効なものなど様々で、時にはこれらを組み合わせて治療を行います。

また最近では、悪性脳腫瘍の一種である膠芽腫(こうがしゅ)に対して、腫瘍電場療法という頭に電極を張り付けて弱い電流を長く流し、腫瘍の増殖を妨げる新しい治療法も出てきており、この治療が受けられる病院も徐々に増えてきています」

まずは正しい情報から

脳腫瘍は完治できる病気なのでしょうか?

辻内先生「脳腫瘍と言っても、経過の良いものから悪いものまで様々です。
悪性脳腫瘍の中には未だ極めて予後が悪いタイプがあることも事実ですが、後遺症を残さず手術摘出ができる脳腫瘍もあり、また中にはそもそも治療自体が必要ない良性脳腫瘍もあります。

一概に怖がらず主治医から正しい情報を得て理解して頂くのが良いと思います」

今回は大同病院・脳神経外科部長の辻内先生が「脳腫瘍」について解説しました。
(新海 優・Yu Shinkai)
 
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2022年12月28日08時15分~抜粋

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