多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

気象予報士に人気?天気予報でよく耳にする「カルマン渦」ってどんな現象?

『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)、気象予報士でもある沢朋宏アナウンサーがリスナーの質問に答える「沢君教えて!」のコーナー。

12月16日の放送には、「このところ天気予報のコーナーで“カルマン渦”という言葉を聞きます。気象予報士の間では人気なんだそうですね」というおたよりが寄せられました。

沢によると「カルマン渦」は「この時期によく使われる言葉」。一体どんな現象を表す言葉なのでしょうか?

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気象予報士の飲み会あるある

「人気があるとかないとか、そういうものもあるんですか?」と尋ねる多田に、「気象予報士が集まって飲み会をすると、『どの天気図が一番好き』だとか『どのひまわりが一番好き』だとか」と笑う沢。

気象予報士同士の飲み会では、それぞれの好きな気圧配置について語り合うことが多く、この話題だけで2時間はいけるんだそう。

そういった時に出る話題のひとつが、カルマン渦。これがよく見られる場所として、済州(チェジュ)島が挙げられます。

パンの「エピ」のよう

カルマン渦とは、「雲が渦になっている状態」を指します。台風のような大きな渦ではなく、小さな渦が互い違いに並ぶ現象です。

これを「パンのエピ」に例える沢。

沢「右、左、右、左にポコポコってくっつきますよね。あんな感じで、右、左、右、左に小っちゃい渦が並んでくるんですよ」

天気に影響をもたらすものではなく、ただ単に雲が渦を巻いているだけです。

では、それがなぜ済州島のあたりでよく発生するのでしょうか?

カルマン渦の正体

済州島は海に浮かんでいる島。

沢「空気が、海の上のさえぎるものがないところをスーッと進んできて。言ってみれば川の真ん中にポツンと石がある。橋脚の足場があるみたいな状態が済州島なんですよ」

空気にとって邪魔なものがあると、ぶつかった空気の流れは左右に分かれたあと、真ん中に戻ろうとします。戻ろうとするタイミングで、クリンクリンと渦を巻くというわけです。

多田「川の流れでも、結構な急流で真ん中にポコンと岩があったりすると、岩を通り過ぎたら2つに流れた水の流れがまた集まって、ちょっと渦を巻いてますもんね。あれが空気でも起こっている」

これが済州島付近で見られるカルマン渦の正体です。

冬独特の現象

朝鮮半島の西側には黄海が広がっています。その方向から風が吹き、冷たい空気が済州島を越えて日本海南部に流れてきます。ここは暖かい海なので一気に雲が湧きます。

カルマン渦は、そこで綺麗に渦が見られるという冬独特の現象です。

多田「例えばこの済州島付近でカルマン渦ができれば、この朝鮮半島から日本列島にかけて『いよいよ冬が来たな』という証」

「気象衛星ひまわり」で雲の姿かたちを見ることで、大気の流れが見えるそうです。

沢「目には決して見えない寒気の流れ込み。これは色を付けられないですから。でも気象衛星ひまわりで見て、カルマン渦ができている。『おっ、これは結構な寒気が入ってきている証拠だぞ』っていう風に見ることができたりします」

すでに2,3度現れた

今シーズンは、このカルマン渦がすでに2,3度見えたといいます。

しかしカルマン渦は寒気の流れ込みが終わると消えていくため、長続きしません。そしてまた寒気が強くなると出てきます。

朝鮮半島で一番高い山である白頭山(ペクトゥサン)の南側でもよく見られます。

「カルマン渦」という名前は、ハンガリー人物理学者で流体力学の専門家「カールマン・トードル」から付いたものです。

名古屋嬢の名古屋巻き

余談ですが、「名古屋嬢」の縦ロール・名古屋巻きが流行ってきた頃、沢は「あっ、カルマン渦…」と思っていたんだそう。

沢「そうとしかしか見えんかった(笑)」

多田「カルマン渦ぶらさげてるわ。冬が来たかなぁ」

沢「んなことはない!と怒られますが」

名古屋嬢の縦巻きではなく、カルマン渦が見られるようになると、本格的な冬がやってきた証拠ということです。
(minto)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年12月16日08時05分~抜粋

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