専門医が身近な病気のことをわかりやすく解説する『多田しげおの気分爽快!!～朝からP･O･N』（ＣＢＣラジオ）のコーナー「健康で生きる」。
12月のテーマは「脳神経外科の病気」です。
14日の放送では大同病院・脳神経外科の辻内先生が「脳出血」について解説します。
聞き手は多田しげおです。
脳出血とは？
多田「脳出血とはどういうものですか？」
辻内先生「『脳出血』は脳の血管が破れて脳の中に血の塊ができ、脳の細胞や神経線維が壊れてしまう病気です」
多田「具体的にはどんな症状が出ますか？」
辻内先生「傷んだ脳の範囲や場所によって、意識が悪くなる場合もあれば、手足の麻痺が出るものや言葉の出が悪くなるもの、めまいが生じるものもあり、症状の出方は様々です」
前回取り上げた「脳梗塞」と共通します。その回で紹介のあったACT-FAST（アクト・ファスト）は『顔、腕、言葉』の症状から脳卒中を推定する方法です。
具体的に、顔は「口をイーっとした時に左右どちらかの動きが悪い」、腕は「前へならえの姿勢が両腕ともきちんと保てるか」、言葉については「急に呂律が回らなくなっていないか」などの症状で判断します。
辻内先生「脳梗塞の場合と症状の出方が異なるのは、出血の量が非常に多い場合です。
頭蓋骨の中の閉鎖空間に大きな血の塊が出現すると、内部の圧が高くなり、脳全体が強い圧迫を受けます。
これにより意識が悪くなったり、脳のゆがみが強くなって呼吸中枢が圧迫され呼吸が止まってしまったりすることがあります」
辻内先生「『脳出血』は脳の血管が破れて脳の中に血の塊ができ、脳の細胞や神経線維が壊れてしまう病気です」
多田「具体的にはどんな症状が出ますか？」
辻内先生「傷んだ脳の範囲や場所によって、意識が悪くなる場合もあれば、手足の麻痺が出るものや言葉の出が悪くなるもの、めまいが生じるものもあり、症状の出方は様々です」
前回取り上げた「脳梗塞」と共通します。その回で紹介のあったACT-FAST（アクト・ファスト）は『顔、腕、言葉』の症状から脳卒中を推定する方法です。
具体的に、顔は「口をイーっとした時に左右どちらかの動きが悪い」、腕は「前へならえの姿勢が両腕ともきちんと保てるか」、言葉については「急に呂律が回らなくなっていないか」などの症状で判断します。
辻内先生「脳梗塞の場合と症状の出方が異なるのは、出血の量が非常に多い場合です。
頭蓋骨の中の閉鎖空間に大きな血の塊が出現すると、内部の圧が高くなり、脳全体が強い圧迫を受けます。
これにより意識が悪くなったり、脳のゆがみが強くなって呼吸中枢が圧迫され呼吸が止まってしまったりすることがあります」
治療法は？
多田「救急車で運ばれ、その後の治療はどのようなものですか？」
辻内先生「脳出血の中で手術の適応があるものはそれほど多くはありません。
多くの場合は、来院された時点である程度の大きさで出血はいったん止まっています。
少量～中等量の出血では自然吸収が期待できるので、これ以上出血が増大しないように降圧剤で血圧を下げたり、止血剤を投与したりといった治療を行います。出血の増大がなければリハビリを行います。
出た出血は自然に溶けて吸収されていくのを待つ形になります。
一方で比較的大きな出血で脳が強く圧迫され、血の塊を除去しないと命が危ない場合には手術を行って血の塊を取り除きます。
出血がどの程度の大きさで止まるかは、血圧や破れた血管の部位、年齢や脳の張り具合、血液をサラサラにする薬剤を飲んでいるかどうか、これは飲んでいる方が血が固まらず出血が大きくなりやすいのですが、いろいろな要素が絡んで運の部分が大きいです」
辻内先生「脳出血の中で手術の適応があるものはそれほど多くはありません。
多くの場合は、来院された時点である程度の大きさで出血はいったん止まっています。
少量～中等量の出血では自然吸収が期待できるので、これ以上出血が増大しないように降圧剤で血圧を下げたり、止血剤を投与したりといった治療を行います。出血の増大がなければリハビリを行います。
出た出血は自然に溶けて吸収されていくのを待つ形になります。
一方で比較的大きな出血で脳が強く圧迫され、血の塊を除去しないと命が危ない場合には手術を行って血の塊を取り除きます。
出血がどの程度の大きさで止まるかは、血圧や破れた血管の部位、年齢や脳の張り具合、血液をサラサラにする薬剤を飲んでいるかどうか、これは飲んでいる方が血が固まらず出血が大きくなりやすいのですが、いろいろな要素が絡んで運の部分が大きいです」
後遺症について
多田「後遺症は出ますか？」
辻内先生「手術の目的はあくまで救命や脳の圧迫の改善であり、手術を行ったから麻痺が良くなるといったことは基本的にはありません。
なぜなら手術でできることは、脳の中の血の塊を除去することと、出血している血管が確認できればこれを止めることであり、壊れた脳の細胞を治したり、切れてしまった神経の繊維をつないだりすることはできないからです。
手術の後は、他の脳卒中と同様リハビリを行いますが、一般に手術を要するような大きな出血の場合は手足の麻痺や失語、認知機能の低下など重い後遺症が残ることが多いです」
辻内先生「手術の目的はあくまで救命や脳の圧迫の改善であり、手術を行ったから麻痺が良くなるといったことは基本的にはありません。
なぜなら手術でできることは、脳の中の血の塊を除去することと、出血している血管が確認できればこれを止めることであり、壊れた脳の細胞を治したり、切れてしまった神経の繊維をつないだりすることはできないからです。
手術の後は、他の脳卒中と同様リハビリを行いますが、一般に手術を要するような大きな出血の場合は手足の麻痺や失語、認知機能の低下など重い後遺症が残ることが多いです」
最大の要因は…
多田「となると1番は発症しない事だと思いますが、特に脳出血のリスク要因となるのはどのようなことでしょうか？」
辻内先生「脳出血は、高血圧・喫煙・適量を超える飲酒がリスク要因になります。
また『コレステロールの異常低値』も発症に関連することが分かっており、これはすなわち極端な低栄養の状態です。
さらには加齢とともに脳の組織が緩くなり、生じやすくなるタイプの出血もあります。この中で最大の要因は、やはり高血圧です」
辻内先生「脳出血は、高血圧・喫煙・適量を超える飲酒がリスク要因になります。
また『コレステロールの異常低値』も発症に関連することが分かっており、これはすなわち極端な低栄養の状態です。
さらには加齢とともに脳の組織が緩くなり、生じやすくなるタイプの出血もあります。この中で最大の要因は、やはり高血圧です」
高血圧は必ず治療を
多田「高血圧は必ず治療した方がいいということですね？」
辻内先生「そうですね。高血圧自体には症状がないことが多いので、健診などで高血圧の指摘を受けても、そのまま放置されている方も多いと思います。
また一度治療を開始し処方を受けても、症状がないのに毎日薬を飲み続けることが煩わしくなり、治療を中断してしまう方もいらっしゃいます。
その場合は脳出血などを生じて、初めて高血圧を治療していなかったことを後悔することになります。
高血圧は心臓や血管に関連する様々な病気の原因になります。
これは言い換えれば高血圧を治療することで、様々な病気になる確率を下げられるということです。
メタボ体系の方などは少し体重を落とすだけで血圧が正常値になることもあります。
健診などで血圧を測る機会は多いと思いますので、高血圧を指摘された場合はぜひ保健指導や治療を受けていただくのがいいかと思います」
今回は大同病院・脳神経外科部長の辻内先生が「脳出血」について解説しました。
（新海 優・Yu Shinkai）
辻内先生「そうですね。高血圧自体には症状がないことが多いので、健診などで高血圧の指摘を受けても、そのまま放置されている方も多いと思います。
また一度治療を開始し処方を受けても、症状がないのに毎日薬を飲み続けることが煩わしくなり、治療を中断してしまう方もいらっしゃいます。
その場合は脳出血などを生じて、初めて高血圧を治療していなかったことを後悔することになります。
高血圧は心臓や血管に関連する様々な病気の原因になります。
これは言い換えれば高血圧を治療することで、様々な病気になる確率を下げられるということです。
メタボ体系の方などは少し体重を落とすだけで血圧が正常値になることもあります。
健診などで血圧を測る機会は多いと思いますので、高血圧を指摘された場合はぜひ保健指導や治療を受けていただくのがいいかと思います」
今回は大同病院・脳神経外科部長の辻内先生が「脳出血」について解説しました。
（新海 優・Yu Shinkai）
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