多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

一分一秒を争う「脳梗塞」。簡単に判断する方法はあるのか?

専門医が身近な病気のことをわかりやすく解説する『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』(CBCラジオ)のコーナー「健康で生きる」。

12月のテーマは「脳神経外科の病気」です。
7日の放送では大同病院・脳神経外科の辻内先生が「脳梗塞」について解説します。

聞き手は多田しげおです。

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脳梗塞とは?

多田「脳梗塞とはどういうものですか?」

辻内先生「一般に『梗塞』と言うのは、血管が詰まって臓器の一部が傷んでしまうことを言います。
心臓で起これば有名なのが心筋梗塞という病気ですが、これが脳で起こったのが脳梗塞です。

つまり、脳の血管が詰まって血流が届かなくなり、脳の一部の細胞が死んでしまった状態を『脳梗塞』と言います」

多田「脳梗塞の生じ方にはいろんなタイプがあるそうですね?」

辻内先生「脳梗塞の生じ方には、動脈硬化によって脳の細い血管が詰まるもの、心房細動という不整脈を原因として心臓でできた血の塊が脳に飛んで血管が詰まるもの、頸動脈という首の血管がコレステロールの沈着によって細くなり詰まるものなど、いくつかのタイプがあります」

早期発見を

多田「早く見つかるかどうかで治療や対応も変わってきますか?」

辻内先生「脳梗塞の治療は『発症から数時間以内の超急性期』、『概ね2週間程度までの急性期』、『それ以降のリハビリ中心の回復期』で、できる治療が大きく違ってきます。

発症から時間が経過してしまうと傷んだ脳細胞を回復することはできませんので、治療の中心は次の脳梗塞の予防や、残った機能を活かすためのリハビリとなってきます」

多田「できるだけ早くということですが、どのような治療がありますか?」

辻内先生「発症から数時間以内の『超急性期』は、血の塊を溶かす薬やカテーテルと言う細い管で血管の中の血の塊を除去し、脳の血流を再開させる緊急治療の適応となる可能性があります。

一般にこの超急性期の治療は、脳外科が担当する病院が多いです」

症状は?

多田「脳梗塞の代表的な症状はどういったものですか?」

辻内先生「傷んだ脳の範囲や場所によって、症状も変わってきます。意識が悪くなる場合もあれば、手足の麻痺が出るものや言葉の出が悪くなるもの、めまいが生じるものなど、症状の出方は様々です」

迅速に脳卒中かどうかを簡単に判断する方法として、海外でACT-FAST(アクト・ファスト)と言われる方法があるそうです。

このFASTは「早い」という意味ではなく、F、A、Sは『FACE、ARM、SPEECH』の頭文字で、日本語では『顔、腕、言葉』を意味します。

顔は「口をイーっとした時に左右どちらかの動きが悪い」「顔が歪み、どちらかの口の端からよだれが垂れている」などで判断するそうです。

そして2つ目の腕は「『前へならえ』の姿勢が両腕ともきちんと保てるか」で判断。

3つ目の言葉は「急に会話がうまくできなくなった」「急に呂律が回らなくなった」といった症状で判断します。

辻内先生「急に現れた症状が『顔、腕、言葉』のうちの一つでも当てはまる場合、7割程度の確率で脳卒中であると言われています」

ためらわず119番へ

多田「周りの方が発見してあげるのも大事ですよね。このような症状が見られたらすぐに救急車を呼んだ方がいいですか?」

この質問に「血流を再開させる治療は1分1秒でも早い方がいい」と断言する辻内先生。

辻内先生「極端な例では数分の違いが後遺症の有無や、時には生死を分けることもあると考えられますので、しっかりと症状が見られる場合は『少し様子を見よう』という考えは捨てて、直ちに救急車を呼んでください」

周りの人が見ていて「顔、腕、言葉」がおかしいなと感じたら、直ちに救急車を呼びましょう。
今回は大同病院・脳神経外科部長の辻内先生に「脳梗塞」についてお話していただきました。
(新海 優・Yu Shinkai)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年12月07日08時15分~抜粋

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