ＣＢＣ論説室の北辻利寿特別解説委員が、様々な日本での最初の出来事を物語る、『多田しげおの気分爽快!!～朝からP•O•N』（ＣＢＣラジオ）の「日本はじめて物語」のコーナー。
11月16日の放送では、日本で生まれた「段ボール」を取り上げました。
もとは緩衝材だった
段ボールの元になった紙が生まれたのは1856年、19世紀のイギリスです。
北辻「イギリスって紳士の国ですよね。シルクハットの内側に、通気性も柔軟性もあるシワシワの紙を入れて、形を整えていたんです」
このシワシワの紙、アメリカに渡るとクッション性を活かして、ガラスや陶器などの割れ物を包むために用いられました。
そんなシワシワの紙に目をつけた人が日本にいました。井上貞治郎さんです。
井上さんは1881年（明治14年）に、兵庫県姫路の農家に生まれました。30種類以上の仕事をした後に、1909年（明治42年）に東京で三盛舎という会社を創業しました。
大工道具などを扱う会社でしたが、このシワシワの紙が、割れやすいものを包む緩衝材として使われていることを知り、「このシワシワの紙は役に立つぞ。だったら自分で作ってみよう」と製造を決意。
ちなみに、このシワシワの紙は波型紙と言います。その名の通り、横から見ると波型。上から見ると均一な波がストライプのように入っています。
当時は海外からの輸入品で値段の高い紙でした。
北辻「イギリスって紳士の国ですよね。シルクハットの内側に、通気性も柔軟性もあるシワシワの紙を入れて、形を整えていたんです」
このシワシワの紙、アメリカに渡るとクッション性を活かして、ガラスや陶器などの割れ物を包むために用いられました。
そんなシワシワの紙に目をつけた人が日本にいました。井上貞治郎さんです。
井上さんは1881年（明治14年）に、兵庫県姫路の農家に生まれました。30種類以上の仕事をした後に、1909年（明治42年）に東京で三盛舎という会社を創業しました。
大工道具などを扱う会社でしたが、このシワシワの紙が、割れやすいものを包む緩衝材として使われていることを知り、「このシワシワの紙は役に立つぞ。だったら自分で作ってみよう」と製造を決意。
ちなみに、このシワシワの紙は波型紙と言います。その名の通り、横から見ると波型。上から見ると均一な波がストライプのように入っています。
当時は海外からの輸入品で値段の高い紙でした。
「段ボール」という名の理由
まず井上さんは、柔らかな綿を作る手回し機を参考にして、綿の代わりに紙を入れて、自分でローラーで回してみたそうです。
期待に反して出てきたのは、左右のバランスが崩れて、シワシワの扇形になったもの。
試行錯誤の末、分銅を使ってバランス調整して、波型紙が完成。
北辻「波型紙、言い方を変えると段差のある紙ですよね。この段差のある紙に名前をつけなくちゃいけない。
そこで井上さんがつけたのが、段差のある紙だから『段ボール』」
井上さんは「段ボール」の名付け親でもありました。
期待に反して出てきたのは、左右のバランスが崩れて、シワシワの扇形になったもの。
試行錯誤の末、分銅を使ってバランス調整して、波型紙が完成。
北辻「波型紙、言い方を変えると段差のある紙ですよね。この段差のある紙に名前をつけなくちゃいけない。
そこで井上さんがつけたのが、段差のある紙だから『段ボール』」
井上さんは「段ボール」の名付け親でもありました。
段ボール箱の誕生
段ボールは、電球や化粧品など、割れやすいものを包むのに人気を得ました。
ある日、井上さんの元に「香水用の瓶を半ダース入れられるものはないか？」と注文が来ました。
井上さんは段ボールで箱を作ったら便利なんじゃないかと考えました。
しかし段ボールはそのままだと丈夫さに欠けるため、シワシワの紙を二枚の厚紙で挟んで三層にしました。
これが現在の三層構造になっている段ボール紙で、これで組み立てた箱が「段ボール箱」となります。
今から100年以上も前、1914年（大正3年）の話です。
ある日、井上さんの元に「香水用の瓶を半ダース入れられるものはないか？」と注文が来ました。
井上さんは段ボールで箱を作ったら便利なんじゃないかと考えました。
しかし段ボールはそのままだと丈夫さに欠けるため、シワシワの紙を二枚の厚紙で挟んで三層にしました。
これが現在の三層構造になっている段ボール紙で、これで組み立てた箱が「段ボール箱」となります。
今から100年以上も前、1914年（大正3年）の話です。
物流の大革命
こうして生まれた「段ボール箱」は、様々な革命を生み出しました。
段ボール以前の箱は、釘を打って組み立てる木箱でしたが、三層構造の段ボール紙によって、衝撃を吸収してくれる箱が簡単に作れるようになりました。
そして木箱に比べると軽量です。
さらに段ボール箱は使わない時は小さく畳んでおけます。
使う時には、釘なしで組み立てられます。中に詰めるものによって自由にサイズを変えられます。
北辻「物を運ぶ時には、木箱から段ボール箱が使われるようになったんですよね。その意味では、段ボール箱は物流という世界にもたらされた大革命でした」
段ボール以前の箱は、釘を打って組み立てる木箱でしたが、三層構造の段ボール紙によって、衝撃を吸収してくれる箱が簡単に作れるようになりました。
そして木箱に比べると軽量です。
さらに段ボール箱は使わない時は小さく畳んでおけます。
使う時には、釘なしで組み立てられます。中に詰めるものによって自由にサイズを変えられます。
北辻「物を運ぶ時には、木箱から段ボール箱が使われるようになったんですよね。その意味では、段ボール箱は物流という世界にもたらされた大革命でした」
段ボール箱の第一人者
北辻「井上さんは紙メーカーまで合併して、紙作りから段ボール作り、さらに段ボール箱作りまで一気通貫でやる会社を作ったんですね」
三盛舎という社名を、1970年の大阪万博の年にレンゴーサービスに変更。その2年後、1972年にはレンゴーという名前に変更しました。
レンゴーは、世界の段ボール箱の第一人者。その元を築いたのは井上貞治郎さんという一人の日本人。
北辻「井上さんは『揺りかごから棺桶まで全て段ボールで作ってみせる』とおっしゃってたんです」
三盛舎という社名を、1970年の大阪万博の年にレンゴーサービスに変更。その2年後、1972年にはレンゴーという名前に変更しました。
レンゴーは、世界の段ボール箱の第一人者。その元を築いたのは井上貞治郎さんという一人の日本人。
北辻「井上さんは『揺りかごから棺桶まで全て段ボールで作ってみせる』とおっしゃってたんです」
どんなものでも包み込む
昨年行われた東京2020オリンピックの選手村では、ベッドも段ボールで作られました。
段ボール関係の会社の社長室で、机から本棚から全部段ボールというところもあります。
最近は災害時のパーテーションにも段ボールが使われています。
折り畳んで倉庫に置いておいて、もしもの時は広げて体育館で展開。プライバシーを守って避難生活ができるのも段ボールのおかげです。
北辻「どんなものでも包み込んで中身を守る包容力は日本という国の底力を象徴しているようです。
段ボールはじめて物語のページには、日本の文化の歩み、その確かな1ページがしっかりと梱包されて大切に保管されています」
（尾関）
段ボール関係の会社の社長室で、机から本棚から全部段ボールというところもあります。
最近は災害時のパーテーションにも段ボールが使われています。
折り畳んで倉庫に置いておいて、もしもの時は広げて体育館で展開。プライバシーを守って避難生活ができるのも段ボールのおかげです。
北辻「どんなものでも包み込んで中身を守る包容力は日本という国の底力を象徴しているようです。
段ボールはじめて物語のページには、日本の文化の歩み、その確かな1ページがしっかりと梱包されて大切に保管されています」
（尾関）
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