多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

日本人のガン死亡率第4位!早期発見が難しい「すい臓がん」とは?

専門医が身近な病気のことをわかりやすく解説する『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』(CBCラジオ)のコーナー「健康で生きる」。



10月のテーマは「消化器内科の病気」です。


26日の放送では大同病院・消化器内科部長の西川先生が「すい臓がん」について解説します。

聞き手は多田しげおです。

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早期発見が難しい病気

多田「すい臓はどんな臓器ですか?」

西川先生「すい臓は、胃の後ろにある、長さ20cmほどの左右に細長い臓器です。

すい臓には2つの役割があり、食物の消化を助けるすい液を作り分泌する働きと、血糖値の調節などをするインスリンなどのホルモンを作り分泌する働きです」

多田「そのすい臓にできるすい臓がんとはどのようなものでしょうか?」

西川先生「すい臓がんの多くは、すい臓内部を網の目のように走るすい管の細胞から発生します。

すい臓がんの患者さんは増加傾向であり、すい臓癌がんで亡くなってしまう患者さんは肺、大腸、胃に次いで4番目に多くなっています。

すい臓がんはがんが発生しても早期では症状が出にくく、発見は簡単ではありません。

早期にあたるがんが、すい臓内に限局している状態で診断されたすい臓がんは、全体の2%に過ぎないと報告されているほどです」

原因は?

多田「原因はどのようなところにあるのでしょうか?」

西川先生「すい臓がんのリスクとして、糖尿病や肥満といった生活習慣病があります。

糖尿病患者さんがすい臓がんを発症するリスクは糖尿病でない方の2倍ほど報告されています。

また、比較的高度な肥満体型である男性のすい臓がん発症のリスクは1.7倍と報告されています。

大量飲酒や喫煙といった嗜好もリスクファクターであり、喫煙ではすい臓がん発症リスクを1.68倍増加させると報告されています。

したがって、禁煙や節度ある飲酒、バランスのよい食事や適正な体型を維持することはすい臓がん予防においてとても重要です。

また、慢性すい炎や嚢胞という粘液のたまりがあるなど、すい臓にもともと病気がある方もすい臓がんの発生リスクが高いことが知られています。

日本におけるすい臓がん患者のご家族内にすい臓がんが認められる割合は3~10%と言われ、家族歴も重要となってきます」

すぐに消化器内科へ

多田「なかなか症状が出にくいとのことですが、注意すべき症状はどのあたりでしょうか?」

西川先生「すい臓がんでは、腹痛、食欲不振、腹部膨満感(おなかが張る感じ)、腰や背中の痛み、黄疸などが起こります。

黄疸とは、皮膚や白目が黄色くなったり、尿の色が濃い茶色になったり、便の色が白っぽくなったり皮膚にかゆみが出る症状のことです。

これは、すい臓内を走る胆管という胆汁が流れる管が、がんによって狭くなることで胆汁が肝臓から十二指腸へ正常に流れずに、溜まってしまうことにより起こります。

その他、急な糖尿病の発症や悪化がみられることがあり、すい臓がんを見つけるきっかけになることもあります。

少しでも気になる症状がある場合には、消化器内科を受診していただきたいです」

検査方法は?

多田「気になる症状があればすぐにでも受診して検査を受けた方が良いのですね。検査方法はどういったものがありますか?」

西川先生「精密検査は、CTやMRIといった画像検査をまず行いますが、小さな病変の検出やがんの精密な評価のために『超音波内視鏡検査』という検査を行います。

超音波内視鏡は内視鏡つまり胃カメラの先端に超音波の装置がついている機械です。

胆道やすい臓は体の表面から深い場所にあるため、体表から行う通常の超音波検査では全体をくまなく観察することは容易ではありません。

胃や十二指腸にカメラを挿入しエコー検査を行うことで、近いところから細かい観察が可能となります。この超音波内視鏡を使用して、がんに針を刺して組織を採取することも可能であり、病気の確定診断も可能となります」

治療方法について

多田「治療方法はどのようなものですか?」

西川先生「すい臓がんの治療には、手術、薬物療法、放射線治療があります。

これらの治療法を、がんの進行具合や体の状態、年齢、本人の希望などを含めて総合的に検討して決定します。

がんが切除できる場合は、手術のみ、もしくは手術と薬物療法、放射線治療を組み合わせた治療を行います。

手術の方法は主にがんができる部位によって決定します。がんがすい臓周辺の大きな血管を巻き込んでいたり、別の臓器に転移していたり、お腹の中に散らばっている場合は手術ができません。

そのような場合は、薬物療法や薬物療法と放射線治療を併用する治療を行っていきます」

大同病院・消化器内科部長の西川先生が「すい臓がん」について解説しました。
来月は「産婦人科」の病気についてお送りします。
(新海 優・Yu Shinkai)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年10月26日08時13分~抜粋

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