多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

実は資源の宝庫・下水道資源。活用の取り組みが広がる

下水の処理過程で発生する汚泥を、肥料として活用できないか?

農林水産省と国土交通省は、10月17日にこの件について会合を開きました。
不要なものと思われていた「下水汚泥」が役に立つかもしれないというお話ですが、実はすでに活用されている事例もあるそうです。

10月20日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)では、GKP BISTRO下水道チームの馬淵沙織さんにお話を伺いました。

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下水の泥から生まれる資源

国土交通省と日本下水道協会、地方公共団体等では「BISTRO下水道推進戦略チーム」を構成して、下水道資源の有効活用に取り組んでいます、

「BISTRO下水道」では実際にどのような取り組みがなされているのでしょうか?

馬淵さん「今まではゴミとして処理されていたものです。実は農業からするとすごく使える資源、お宝だと言われているので、捨てるのではなくしっかりと農業で使っていきましょうという取り組みです」

下水汚泥は単なる泥のように見え、有毒物質も含まれていますが、その中でも「処理水」「汚泥」「二酸化炭素」「熱」が資源に変わるそうです。

馬淵さん「汚泥というものは一見、汚い物のかたまりのように思われがちなんですけど、その中に『窒素』や『リン』『ミネラル』『微生物』が含まれていて、有機物のかたまりなんですね。

これがバイオマス資源として着目されていて、発酵もしくは乾燥させたり、化学処理をしたりして、肥料として使われることが多いです。
お野菜を育てるのに使ってもらって、しかも収量が増えるというのを目指していますね」

農業や漁業にも良い影響が

汚泥には「微生物」が含まれているということですが、ミネラルにはない特別な効果があるそうです。

馬淵さん「微生物は直接植物の成長に影響するというよりは、土壌、畑や田んぼに供給されることによって、窒素やリンが植物に供給されやすい形に変化させてくれるというのが役割です。

微生物を養分と一緒に汚泥発酵肥料として供給できますので、畑や田んぼに一緒に入れてあげることによって、結果、その植物が栄養素を吸いやすくなるという環境が整備される仕組みになっています」

また、下水にある汚泥だけではなく、「処理水」も活用できるそうです。

馬淵さん「窒素やリンは処理水や汚泥にたくさん含まれるものなんですけれども、処理水だと海苔や川魚の養殖の水源として使われたり、畑や稲作の液体肥料として使われることがあります」

コストは高くつく?

その他にも、下水を処理する過程で発生する「二酸化炭素」と「熱」も有効活用できるとのことですが、どのような形で役に立つのでしょうか。

馬淵さん「二酸化炭素は光合成で植物が必要とする要素で、あと植物が成長するには熱が必要ですね。

こういったものが下水を処理する過程で出てきますので、下水処理場の中で集めて、お野菜を育てるハウスの中に二酸化炭素を供給して、植物が元気に育つように使われたり、熱であればハウスの温度調整に使われたりしています」

今まで処分していたものが肥料などに有効活用できるのは良いことですが、この肥料の販売価格が高いとなかなか浸透しません。
実際にコストは高くついてしまうのでしょうか?

馬淵さん「今まで汚泥という下水道資源を燃やして捨てていたというところですけど、それを肥料にして地域のみなさんに使ってもらえるように還元できている。

燃やすのにもすごくお金がかかるんですけど、使えるものに生まれ変わらせて循環するという時点で、かなり新しい採算の取り方が生まれていると感じています」

普及に向けて問題が

ただ、コストの面は問題がないようですが、別の問題があるようです。

馬淵さん「下水道資源を農業に利用するとなるとイメージが良くなく、安全なの?って不安に感じる方がまだ多い状況だと思うんです。

イメージを払拭して、『そもそも下水道システムって何なの?』とか、そこから生み出される資源がどんなものなのか、実際にどんなふうに利用されているのかというのを正しく知ってもらう。

イメージを変えていきながら、実際に下水道資源を自分の田んぼや畑で使ってみたいなっていう農家さんや、汚泥発酵肥料を使って作ったお野菜を食べてみたいという消費者が今後増えていくと良いかなと思っています」

この取り組みはすでに行われており、全国に広がっているそうです。
(岡本)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年10月20日07時18分~抜粋

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