多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

現在2万5千店超え!コインランドリーはどうして日本に普及できた?

CBC論説室の北辻利寿特別解説委員が日本におけるあらゆる物事のルーツを説明する『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)「日本はじめて物語」。

9月21日放送のテーマは「コインランドリー」。

お金を入れて洗濯をするコインランドリーのシステムが、どうやって普及したのかが明らかになります。

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1回10円で大人気

北辻「1934年、日本で言うと昭和9年。アメリカのテキサス州で、お金を入れて使う洗濯機を並べた店が現れたんです」

これが世界で最初のコインランドリーとなります。

日本では戦後の1953年(昭和28年)に東京の品川区に登場しました。
ちょうどこの年に発行されたばかりの10円玉で洗濯機を使わせる商売が始まったのです。

当時はまだ一般家庭には洗濯機が普及しておらず、この有料洗濯機は人気を集めたそうです。

ヒット曲「神田川」のリアル

北辻「1970年代に入ると、日本で製造されたコイン式の洗濯機と、コイン式の乾燥機が現れました」

それまでは店員に代金を支払って使うシステムでしたが、この頃には自動販売機のように、洗濯機そのものにコインを投入すると動くものが登場。これが銭湯に置かれたそうです。

北辻「自分の身体も洗濯して、自分の服も洗濯して、キレイになって帰りましょうと」

1973年、南こうせつとかぐや姫が歌ったフォークソング「神田川」がリリースされ、大ヒットしました。あの時代です。

多田「ひょっとしたら、あの二人もコイン式の洗濯機を使っていたかも」

北辻「小さな石鹸、カタカタなった。洗濯機もカタカタ回っていた」

多田「早よ、洗濯終わらんかな~。実は、女の子の方が、男の洗濯が終わるのを待ってるうちに」

北辻「洗い髪が芯まで冷えてしまった」

歌詞に書かれていない行間を推測する北辻委員と多田。

若者たちが利用した

北辻「70年代から人々は、外でお金を出して、自分で洗濯するという新しい生活習慣ができました」

多田「外でお金を出して、人にやってもらうのがクリーニング屋さん。自分でするのがコインランドリーという考え方」

北辻「これがやがてお風呂屋さんの片隅じゃなく、コインランドリーが独立していくんですよね。今日のようになってきた」

当時、都市部では「神田川」のように二人暮らしや一人暮らしの若い人が増えていきました。
一人暮らしの人たちにとって、電気洗濯機は高価で持てなかった時代。
そういう層を中心にコインランドリーが人気を集めていったそうです。

サービスも充実

北辻「その後、毛布や布団など、大きなものも洗える洗濯機が登場してくると、一気に郊外型、駐車場のある大きなコインランドリーが出来てきました」

最近日本ではガスを使った強力な乾燥機が開発され、布団や毛布がフワフワの仕上がりになるんだとか。

また、洗濯をしている待ち時間を楽しんでもらおうと、カフェやベーカリーを併設するコインランドリーも出来ているそうです。

ネット環境が進んた今、洗濯が終わる少し前に、メールでお知らせが来るサービスもあります。

さらにはペットの入浴サービスをやっているコインランドリーまで。洗濯物もペットも帰るころにはスッキリ。

ちなみに1973年の「神田川」から、1985年には柳ジョージ「コインラインドリー・ブルース」、1998年にはザ・ハイロウズ「コインランドリー」など、コインランドリーを舞台とした楽曲も登場します。

洗濯機がなくなる?

北辻「今はコインランドリー(の店舗)を選んで、洗濯をコインランドリーでする時代になってきた」

1990年代に1万店ほどだったコインランドリーは、今や2万5千店を超えているそう。
ひと昔前は当たり前だった固定電話も、携帯電話やスマートフォンの普及で、最近は設置していない家庭も多くなってきました。洗濯機もそういう時代に入るかもしれません。

コインランドリーが考えられた当初、洗濯機がない人のためだったことを考えると、進化がもたらした不思議な逆転現象です。

北辻「コインランドリーは、日本の住宅事情や家族事情を背景に、世界に誇るサービス向上によって、飛躍的な進化を遂げてきました。コインランドリーはじめて物語のページは、日本の文化の歩み、その確かな1ページが、洗い立てフワフワの姿で刻まれています」

洗い立ての洗濯物のように爽やかに締める北辻委員でした。 
(尾関)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年09月21日07時41分~抜粋

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