9月16日は日本中央競馬会(JRA)が1954年(昭和29年)のこの日に発足したことから、競馬の日に制定されています。
この日に放送された『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、CBC論説室特別解説委員の石塚元章が、競馬の日にちなんで馬を使った言葉の語源について解説しました。
馬によって軍事技術が進化
昔に馬がよく利用されたのは軍用目的でした。
古代オリンピックでは戦車競走が人気で、この時は馬が車を引いて走っていました。
平和の祭典として知られるオリンピックも、もともとは戦争に関わりがあったというのも、皮肉な感じがしますね。
また、馬を乗りこなすための道具にも、さまざまな進化があります。
あぶみは当初、馬は背が高いことから人間が乗りやすくするために作られたもので、片方しかありませんでした。
今は両側にあって人間が足で踏ん張れるようになったのですが、これにより両手が使えたり立ち上がれるようになって、弓矢などの武器が使えるようになって、軍事的な進化につながりました。
また、鞍や蹄鉄など馬を乗りこなすための道具が開発されましたが、エルメスやグッチ、ダンヒルなど、有名なブランドは馬の道具を作ったことが始まりとなっています。
「天高く馬肥ゆる秋」の裏の意味
馬は「桜肉」といって食べることもありますが、移動手段として乗る、馬力という言葉があるように、物を運ぶという役割を果たして来ました。
さらに「競馬の日」にあるように、競走して楽しむということもあり、さまざまな役割をになっている馬はそれだけ人間に身近な動物であり、さまざまなたとえに馬が使われています。
「天高く馬肥ゆる秋」というフレーズは、「馬が太るぐらいおいしいものが多い秋」というのどかなイメージがありますが、故事をたどると戦争につながります。
中国では北のほうに騎馬民族がいて、春から夏にかけておいしいものを食べて太った馬が力をつけ、秋になると強い馬に乗った騎馬民族が北から攻めて来て食糧を略奪する、だから秋は注意しなければならないという意味が含まれていたそうです。
じゃじゃ馬の「じゃじゃ」って何?
おてんばな女の子のことを「じゃじゃ馬」といいますが、よくよく考えてみると「じゃじゃ」って何なのでしょうか。
これは「ガヤガヤ」や「ドスドス」などと同じく、音や様子を表す言葉で、虫などが鳴いて騒いでいる様子を「じやじや」と表していたことから来ているそうです。
また、相性が良いことを「馬が合う」といいますが、これは馬どうしの相性が良いという意味ではなく、馬と乗り手の気が合うという意味で、人馬一体と同じものです。
本性や悪事が明るみに出るという、あまり良い意味で使われない「馬脚をあらわす」という言い回しですが、これはお芝居で人間が馬の役をやる際、うっかり人の姿を見せてしまうことから来ているそうです。
馬にまつわるさまざまなフレーズを紹介してきましたが、石塚が好きなフレーズは、菊池寛がよく使ったとされる「無事之(これ)名馬」。
能力もさることながら、役割を果たして最後まで無事走り抜けるのが優秀な馬であるという意味ですが、長く生きれば生きるほど、しみる言葉ですね。
(岡本)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年09月16日07時22分~抜粋