多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

喫煙者は要注意!生存期間が診断から平均3年「肺線維症」

専門医が身近な病気のことをわかりやすく解説する『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』(CBCラジオ)のコーナー「健康で生きる」。



8月のテーマは「肺の病気」です。

31日の放送では大同病院・呼吸器内科、主任部長の沓名健雄先生が「肺線維症」について解説します。
聞き手は多田しげおです。

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どんな病気?

まず肺線維症とはどんな病気なのでしょうか?

沓名先生「肺は肺胞というブドウの房状の小さな袋がたくさん集まってできています。

肺線維症は、この肺胞の壁に炎症や損傷が起こり、壁が厚く硬くなるため(線維化)、酸素を取り込みにくくなってしまう病気です」

多田「酸素を取り込みにくくなってしまう原因はどのようなことが考えられますか?」

沓名先生「肺線維症の原因はさまざまですが、その中で原因不明のものを特発性肺線維症(IPF:英語でidiopathic pulmonary fibrosis)と言います。

わが国におけるIPFの調査(2008年)では、発症率が10万人あたり2人、有病率が10万人あたり10人とされています。

IPFは50歳以上の男性に多く、ほとんどが喫煙者であることから、たばこが危険因子であると考えられています。

IPFは一般的には徐々に肺の線維化が進行していく病気で、生存期間はわが国の報告では診断時から平均約3年とされていますが、病状の経過は患者さんによってさまざまです」

診断法は?

多田「診断がついてからわずか3年で亡くなってしまうとは、とても怖い病気ですね。症状はどういったものがありますか?」

沓名先生「初期には無症状のことが多く、病状がある程度進行してくると動いた時の息切れや痰を伴わないせきを自覚します。

70歳前後で診断される方が多く、多少の息切れは歳のせいかな?などと思ってしまい、診断が遅れるケースも少なくないんです」

多田「息切れが起きたら呼吸器科を訪ねてみたら良いのですね。この病気の診断方法はどのようなものですか?」

沓名先生「問診、身体診察に加えて、胸部CT、呼吸機能検査、運動した時の血液中の酸素量の低下具合などから病状を評価し、病型の分類を推測します。
気管支鏡検査により肺胞の洗浄検査などを行うこともあります。

最も正確な診断には外科的手術による肺の組織検査が必要ですが、近年は気管支鏡検査によって肺の組織をマイナス45度で凍らせて大きめに採る『凍結生検』の有用性が報告されています」

治療法について

多田「治療方法はどういったものでしょうか?」

沓名先生「病状がある程度進行したIPFでは、抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテダニブ)により病気の進行を緩やかにできる場合がありますが、これは効果には個人差があります。

IPFは慢性的に進行しますが、急に病状が悪化する場合があり、その時はステロイド薬の全身投与が必要になります。

病気が進行すると低酸素状態となり、自宅や屋外で使用できる在宅酸素療法が必要になることもあります」

大きいタバコの影響

多田「今月は肺の疾患についてお話していただきましたが、肺の疾患の原因にはたばこの影響がかなり強いということを改めて知りました」

沓名先生「今月お話させていただいた、肺がん、気管支ぜんそく、COPD、肺線維症のいずれにおいても、たばこはその原因または悪化要因です。

また、新型コロナウイルス感染症の重症化のリスク因子でもあります。

禁煙することは、呼吸器疾患の予防や治療に欠かせない、大切な健康管理の方法です。
たばこを吸われる方は、これを機会に禁煙外来を受診してみてはいかがでしょうか」

今月は大同病院呼吸器内科・主任部長の沓名健雄先生が「肺の病気」について解説しました。

来月のテーマは「膠原病・関節リウマチ」についてです。
(新海 優・Yu Shinkai)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年08月31日08時14分~抜粋

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