多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

いつの時代も人は運試しが好き。「宝くじはじめて物語」

CBC論説室の北辻利寿特別解説委員が、ものごとの始まりを解説する『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)の「日本はじめて物語」。

8月31日のテーマは「宝くじ」です。
日本の宝くじはどのように始まったのでしょうか?

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大昔の公共のくじ

北辻「くじは紀元前からあると言われています。人は運試しが好きな生き物なんですかね。古代ローマ時代に、シーザーっていう将軍がいましたね。
その時に、賞品が当たるくじが流行していたんです」

英語読みでシーザー。ラテン語読みでカエサル。紀元前100年~紀元前44年。「賽は投げられた」という言葉を残しています。

このころは、宮殿の改修費用を調達するために、くじを発行したという記録があるそうです。それがだんだんヨーロッパの多くの国に広まっていきました。

日本のくじ

日本で、記述がある一番古いくじは、江戸時代の初期、寛永元年、1624年のもの。現在の大阪と兵庫の間にまたがる摂津の国に、箕面山瀧安寺というお寺があります。

ここで正月の元旦から七日までの間に参拝した人たちに、木の札に名前を書いてもらったそうです。
それを箱に入れて、七日が終わった時に、お坊さんがキリで箱の中を突いて、3つ札を取った。それが当たり。

その時は、賞金ではなく福運のお守り。このくじが次第に広まって、お守りの代わりに、お金に変わるのは世の流れ。これが「富くじ」と呼ばれるようになったそうです。

庶民の楽しみ

落語にも、富くじが出てくる「富久」や「宿屋の富」という話があるように、富くじは江戸の町でも上方でも一気に広がっていったそうです。
今でいう宝くじ。庶民の楽しみだったのでしょう。

ところが五代将軍徳川綱吉の時代、生活や風紀が乱れるという理由で、富くじが禁止されました。
ただお寺などの修繕費用は必要だということで、お寺には許されていたそうです。多くは禁止されたとはいえ、まだ庶民の楽しみはありました。

しかし幕末になり、庶民の楽しみがついに奪われる事態になりました。
天保の改革で知られる老中・水野忠邦が財政再建、物価の統制の中で富くじを一切禁止にしてしまったのです。

北辻「この富くじが日本で復活するまでには、100年の歳月を待たなければならなかったんです」

宝くじ登場

時は1945年(昭和20年)、太平洋戦争終結の年、政府は戦費の調達のために、1枚10円の富くじを発行したそうです。
一等賞金10万円、現在の2000万円程度だそうです。

この富くじは「勝ち札」という名が付いていました。
ところが記念すべき初めての抽選日が8月25日。8月15日の終戦の後だったので、皮肉にも「負け札」と呼ばれたそうです。

その後、2か月後の10月に、政府は戦後復興のための費用を捻出するために、また富くじを発行しました。ここで初めて「宝くじ」と言う名前になりました。

さらに、戦争で焼け野原になった全国各地の復興のために、各自治体が独自に宝くじを発行できることになりました。
それが自治宝くじ。昭和29年に政府宝くじは廃止され、残った自治宝くじが、現在の全国自治宝くじへと繋がります。

どんどん上がる賞金

終戦の年の賞金は10万円でしたが、その20年後の1965年(昭和40年)になると700万円、昭和41年には800万円、昭和43年には1000万円になりました。

昭和55年には、「ジャンボ宝くじ」が出てきて、一等賞金3000万円。
さらに時代は平成と移り、元年の1989年、一等前後賞合わせての賞金が、初めて1億円となりました。

そして2022年、令和4年のサマージャンボは総額7億円でした。

9月2日は、くじの日

北辻「手元の宝くじ、期限切れてませんか?当たってませんか?毎年、9月2日は9・2で、くじの日。再確認しようという日です」

商店街の商品として、貰った宝くじなど、自分で買っていないと、うっかり忘れていることがあります。

また、過去一年分のハズレ券から、お米やタオルが当たる「宝くじの日 お楽しみ抽選会」もあります。ハズレても捨てずに取っておくと、何か当たるかもしれません。

今年の場合は令和3年9月1日から令和4年8月31日までに抽選が行われたハズレ券が対象です。

ネット販売で売り上げアップ

北辻「コロナ渦で宝くじ売り場の行列が少なくなったんですけど、ジャンボ宝くじはオンライン販売で売り上げが伸びているんです。時代は変わりましたねえ」

宝くじだけでなく、各地の公営賭博もオンラインで売り上げが伸びています。競輪、競馬、オートレース、ボートレースの最新期の売上高は、コロナ前、前々期から12.7%増加しています。

北辻「宝くじは古今東西、運試しという人間誰しもが心に持つ願いを、巧みに吸い上げてきました。宝くじはじめて物語のページには、日本の文化の歩み、その確かな1ページが、大当たりへのささやかな夢と共に刻まれています」と言う北辻でした。

大当たりへの「ささやかな夢」。これが宝くじの妙味です。 
(尾関)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年08月31日07時41分~抜粋

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