多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

完治は困難!?喫煙者の生活習慣病「COPD」とは

専門医が身近な病気のことをわかりやすく解説する『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』(CBCラジオ)のコーナー「健康で生きる」。

8月のテーマは「肺がん・肺疾患の病気」。
24日の放送では大同病院・呼吸器内科、主任部長の沓名健雄先生が「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」について解説します。

聞き手は多田しげおです。

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COPDとは?

多田「COPDは日本語で慢性閉塞性肺疾患。慢性はわかりますが、閉塞性とはどういったことなのでしょうか?」

沓名先生「肺は空気中の酸素を吸い込み、そして血液中の二酸化炭素を吐き出すという役割を担っていますが、息を吐き出しにくくなった状態を『閉塞性』と表現します」

多田「そんな状態が慢性になってしまうのが、慢性閉塞性疾患ということですか?」

沓名先生「慢性閉塞性肺疾患(COPD:英語でchronic obstructive pulmonary disease)とは、従来『慢性気管支炎』や『肺気腫』と呼ばれてきた病気の総称です。

タバコの煙を主とする有害物質を長期に吸入することで生じた肺の炎症性疾患であり、喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病ともいえます。

40歳以上の人口の8.6%約530万人の患者が存在すると推定されていますが(NICE study)、大多数が未診断、未治療の状態であると考えられます」

多田「では気づいていないだけで病気に罹っている人もいるということですね」

沓名先生「そうですね。2019年度の人口動態調査によれば、全体では死亡原因のランク圏外(11位以下)ですが、男性では死因の8位となっています」

息切れが気になったら要注意

多田「男性の死亡原因の8位とは?」

沓名先生「タバコを吸い始めて20年~30年程度、年齢にして40~50代に息切れを訴えて医療機関を受診し、診断がつく場合が多いです。

その後ゆっくり進行し70歳以上で、酸素を充分取り込めなくなったり、二酸化炭素を排出できなくなったりして、お亡くなりになります」 

多田「とても怖い病気で、喫煙者は注意が必要なんですね。症状はどのようなものがありますか?」

沓名先生「歩行時や階段昇降など、身体を動かした時に息切れを感じる『労作時呼吸困難』や、慢性の『せき』や『たん』が、特徴的な症状です。

風邪などをきっかけに、症状の急な悪化を起こすことがあります」

どういった診断が?

多田「ひょっとしたらCOPDかな、と思った際の診断方法はどのようなものですか?」

沓名先生「20年以上の喫煙歴があり、慢性的にせき、たん、労作時呼吸困難があればCOPDが疑われます。

確定診断には『スパイロメトリー』といわれる呼吸機能検査が必要です。

最大限に吸っておもいきり努力して吐き出した息の全体量(すなわち努力性肺活量)と、最初の1秒間にはける息の量(すなわち1秒量)を測定し、『1秒量』を『努力性肺活量』で割った値を『1秒率』といいます。

ざっくり言うと、吸い込んだ息を1秒間に何%吐き出せるかということです。

この『1秒率』が気道の狭くなっている状態(閉塞性障害)の目安となり、気管支拡張薬を吸入したあとの『1秒率』が70%未満であることが絶対条件で、その他の疾患を除外できればCOPDと診断されます」

さまざまな治療方法

多田「治療方法はどのようなものがありますか?」 

沓名先生「まずたばこを続けると呼吸機能の悪化が加速してしまいますので、禁煙が治療の基本となります。

症状の急な悪化を防ぐためには、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種が勧められます。

薬物療法の中心は吸入薬です。
長時間気管支を拡張することができる吸入抗コリン薬(LAMA:ラマ)や吸入β2刺激薬(LABA:ラバ)が使用されています。

気流閉塞が重症で症状の急な悪化を繰り返す場合は、気管支ぜんそくでも使用する吸入ステロイド薬を併用します。

薬物療法以外には、呼吸リハビリテーション(口すぼめ呼吸や腹式呼吸といった呼吸訓練、運動療法、栄養療法など)があります。

酸素欠乏状態が進行してしまった場合は、自宅や屋外でも酸素を吸うことができる在宅酸素療法が導入されます」

多田「やはり禁煙が基本なんですね。禁煙するだけで症状は楽になるものなのでしょうか?」 

沓名先生「禁煙するとせきやたんが明らかに減りますが、労作時の息切れはあまり変わりません」

多田「完全に治すということは難しいのでしょうか?」

沓名先生「そうですね。今の医学ではまだ難しい状態です。

しかし禁煙することによって、呼吸機能の悪化する速さを遅らせ、死亡率も低下させることができます」

今回は大同病院呼吸器内科・主任部長の沓名健雄先生が「慢性閉そく性肺疾患(COPD)」について解説しました。
次回のテーマは「肺線維症」についてです。
(新海 優・Yu Shinkai)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年08月24日08時17分~抜粋

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