多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

他人を持ち上げる喩えに「ちょうちん」が使われる理由

CBCラジオ『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』の金曜日に放送されているコーナーが「石塚元章の金曜コラム」。

『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』(TBS系)でもおなじみ、CBC論説室特別解説委員の石塚元章が1つのテーマをもとに、「他人にちょっと言いたくなるような話題を伝えています。

8月19日放送のテーマは「ちょうちん」。

この時期、大きなちょうちんが飾られたお祭りが各地で開かれることから、このテーマとなりました。

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日本ならではの特徴

お祭り以外、普段の生活でちょうちんを見ることは減ってきて、今は居酒屋の店先ぐらいでしょうか。

ちょうちんはもともと飾りではなく、電気がなかった時代に灯りとして使うものでしたが、さらに遡ると携帯用の照明器具ということになります。

室町時代に中国から伝わってきたと言われるちょうちんですが、語源は中国語そのままの発音だそうです。
日本では漢字で書くと「提灯」ですが、中国の「ちょうちん」とは異なり、これは日本で「手に提げる灯り」として当てた文字です。

携帯用の灯りと言えば西洋にもランタンがありますが、ちょうちんは日本で独自の進化を遂げます。

1番の特徴は折りたためるという点。
中国のちょうちんは、あんどんのように箱型であるため、じゃばらになっているのは日本製の特徴です。

ウォークマンにせよ他の電化製品にせよ、日本人は昔から物をコンパクトにすることに長けていたようです。

携帯化に成功

灯りの携帯化についてコンパクト化とともに一役買ったのが、ろうそくの登場です。

昔は灯りに使用していたのは油だったため、持ち運んでいる時に揺れて危険でしたが、ろうそくによって持ち運びやすくなりました。

ちなみになたね油が高価だった時代、庶民はイワシから採れる油を使用していたそうです。
そこで猫が舐めていたそうで、これが化け猫のイメージを強くしたのかもしれません。

ろうそくは高価なもので、最初は身分の高い人しか使用できませんでしたが、江戸時代になると次第に一般的に広がるようになりました。

ちょうちんのさまざまな形

一般的な丸いちょうちんとは違う形のものといえば、円筒形の「小田原ちょうちん」。
紙の部分を完全にしまうことができるため、懐に入れて持って歩きやすく、江戸時代に旅行用などで大人気となりました。

また、持ち方で変わっているのが、「ぶら提灯」といって棒の先にちょうちんをぶら下げる形で、先の方を照らすことができるもの。

「弓張提灯」はちょうちんに取っ手のようなものをつけて持ちやすくしたものです。

そして「高張提灯」は高い場所につけるようにして目立たせたもの。
紙でできている特性を利用して文字を書き、他人に知らせる広告目的へと広がっていきました。

時代劇でよく見る「御用提灯」は、夜のパトロールで明るくするという目的もありますが、パトカーの赤色灯のような犯罪抑止の目的もありますし、警察手帳のように自らの証明にもなっていました。

ネガティブな意味にも

ちょうちんは生活の必需品でしたが、現代ではあまり良い意味ではない言い回しで用いられることもあります。

それが「ちょうちん持ち」や「ちょうちん記事」という言葉。

ちょうちんは、照らす場所をほのかに明るくするのですが、周りはむしろ暗くなってしまいます。

そのため、ちょうちんを持つ人は、照らす相手や物に留意して自分の立ち位置に気を配らなければいけません。

そこで他人に気を遣うということから、「ちょうちん」という言葉が使われているのですが、「持ち上げすぎ」というネガティブな意味に使われるようになってしまいました。

ただ、本来は他人に気を遣って自分の立ち位置を把握するということで、最後に石塚は「人生の哲学っぽいことを思ったりします」とまとめました。
(岡本)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年08月19日07時22分~抜粋

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