多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

なぜ怒っているさまを「おかんむり」と言うの?

『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』の「ことばのふしぎ」コーナーでは、ふだん私たちが何げなく使っているフレーズや言い回しをピックアップ。

よくよく考えるとなぜこんな言い方をしているのか、その言葉が生まれたきっかけなどをパーソナリティーの多田しげおが紹介しています。

8月10日の放送で取りあげた言葉は「おかんむり」。

怒っているさまや機嫌が悪いさまを表現するのに使われる言葉ですが、「かんむり」は王様など偉い人がかぶる冠のことで、実際にこの冠から来ている言葉です。

一見、冠そのものと怒りとは直接的に結びつかないのですが、なぜ冠が怒ることを表現するようになったのでしょうか。

いっしょに勉強しましょう。

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冠のイメージは?

みなさんは冠といって、どのような形状を思い浮かべられるでしょうか。

昔から西洋を舞台にした物語の中では、冠といえば王冠。

色とりどりの宝石が散りばめられていて、王様がかぶるものというイメージが決まっていますが、日本でいう冠はその趣きがやや異なります。

ここでいう「おかんむり」とは、平安時代などの貴族が正装する際に頭にかぶっていたものを指し、冠の色によって地位や階級が表されていました。

さらに昔の奈良時代には、聖徳太子が冠位十二階といって、こちらも色に応じて等級を制定していたという話が伝わっています。
日本史の教科書で覚えたという方も多いのではないでしょうか。

紫色が最も位が高く、高貴な色として今でもその意味で使用されています。

「冠を曲げる」とは?

貴族は上の階級の人に対して不平や不満があった場合でも、ストレートに意見を述べることができませんでした。

それだけ上下関係が厳しかったということでしょうか。

しかし、せめて抗議の気持ちを表現したいということで、本来はまっすぐかぶらないといけない冠に対し、少し曲げてかぶったりわざとずらしたりすることで、不満を周りにそれとなく伝えていたそうです。

そこで、機嫌の悪い時のことを「冠を曲げる」というようになり、さらに略されて「おかんむり」というようになっていったそうです。

確かに「あの人は今、おかんむり」と他の人の様子を話す時は、決まってその人は上司などの目上が多いもの。

従いまして、「おかんむり」というのは、本来は目上の人の態度を表現するのに使うものということになります。

……といっても、最近はあまり使われなくなったのかもしれませんが。

他に曲げるものも

ちなみに、「へそを曲げる」や「つむじを曲げる」という言葉も、機嫌が悪くなっていじわるをするなど、やや似たような意味合いとして使われています。

「曲げる」という行為自体が、本来の形をゆがめるという意味でもありますので、本来の安らかな気持ちではないという状態を表しているといえます。

また、冠だけではなく、へそもつむじも曲げると別の方向へ行きます。

ということは、抗議をしたい相手に対して正面を向くのではなく、違った方角へ向くということで、あなたには直接相対しませんという意味でもあるのかもしれませんね。
(岡本)
 
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2022年08月10日08時19分~抜粋

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