多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

完治できる割合は増加の傾向に。「肺がん」の治療方法とは?

専門医が身近な病気のことをわかりやすく解説する『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』(CBCラジオ)のコーナー「健康で生きる」。

8月のテーマは「肺がん・肺疾患の病気」です。



8月10日の放送では大同病院・呼吸器内科、主任部長の沓名健雄先生が「肺がんの治療法」について解説します。
聞き手は多田しげおです。

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小細胞肺がんとは?

多田「肺がんの治療方法ですが、どのようなものがありますか?」

沓名先生「治療法は、小細胞肺がんと非小細胞肺がんで異なります」

多田「小細胞肺がんとはどういうものですか?」

沓名先生「顕微鏡で見て肺がんの種類を決めますが、丸くて小さいがん細胞で構成されているものを小細胞肺がん(肺がん全体の10~15%)、それ以外を非小細胞肺がんといいます」

多田「小細胞肺がんの特徴はどのようなものでしょう?」

沓名先生「小細胞肺がんは極めて進行が早く、発見された時にはすでに転移している場合が多く、非小細胞肺がんは小細胞肺がんほど早く進行しないんです。

なので、小細胞肺がんと非小細胞肺がんでは治療法がやや異なってきます」

段階によって異なる治療法

多田「では、まず進行が早いという小細胞肺がんの治療方法から教えてください」

沓名先生「小細胞肺がんは、発見時にはすでに転移していることが多く、転移がある(脳や骨、肝臓、副腎、がん性胸水など進展型と呼ばれる)場合は、抗がん剤治療を行い、転移がない(胸の中のリンパ節転移までに留まっている限局型と呼ばれる)場合は、抗がん剤と胸部放射線治療の組み合わせが用いられます」

多田「共に抗がん剤治療が重なんですね。小細胞肺がんではない肺がん(非小細胞肺がん)の治療方法はどういったものですか?」

沓名先生「非小細胞肺がんは、I期・Ⅱ期およびⅢ期の一部では手術を行い、ごく早期のI期を除いて手術後に抗がん剤治療を組み合わせるのが一般的です。

何らかの理由で手術ができない場合も、早期であれば定位放射線治療や陽子線治療で手術並みに治すことが可能です。

手術が不可能なIII期では胸部放射線治療と抗がん剤治療を組合せた併用療法を行います。

転移を伴うⅣ期では抗がん剤治療が主体となります」

劇的な効果が得られる場合も

多田「抗がん剤治療がたくさん出てきますが、内容もいろいろあるんですよね?」

沓名先生「非小細胞肺がんに対する抗がん剤治療を行う際は、肺がんの遺伝子異常を調べて、より効果的で安全な抗がん剤を用いるようにしています。

しかし進行肺がんについては、現時点でも完全に治る方の割合は多いものではありません。

近年、遺伝子異常をともなう肺がんに対する『分子標的薬』や『免疫チェックポイント阻害薬』(いわゆる免疫療法)が開発され、人によっては劇的な腫瘍縮小効果と延命効果が得られています」

完治できる割合は増えている!

多田「新しい技術はかなり進歩していると考えていいんでしょうか?」 

沓名先生「はい。10年~20年前に比べるとかなり進歩しており期待できます」

多田「治療後の経過観察はどうなりますか?」

沓名先生「手術や、抗がん剤と胸部放射線照射の組合せによって、肺がんが制御された患者さんは、3~6か月ごとにCTなどで再発の有無を確認し、5年間再発がなければ『完治』と判断します。完治できる方は確実に増えていると思います」

大同病院呼吸器内科・主任部長の沓名先生が「肺がんの治療法」について解説しました。
来週のテーマは「気管支喘息」についてです。
(新海 優・Yu Shinkai)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年08月10日08時13分~抜粋

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