専門医が身近な病気のことをわかりやすく解説する『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』(CBCラジオ)のコーナー「健康で生きる」。
8月のテーマは「肺がん・肺疾患の病気」です。
8月3日の放送では大同病院・呼吸器内科、主任部長の沓名健雄先生が、「肺がん」について解説します。
聞き手は多田しげおです。
死亡率が高いがん
多田「肺がんを患う人は年間どのくらいいるんでしょうか?」
沓名先生「年間約8万人が肺がんになり、7万人が死亡しています」
多田「ということは、かなり死亡率が高い病気ですよね」
沓名先生「はい、がんの中で最も死亡数が多い病気です。
また、5年生存率も20%強で、肝臓がんと並んで治療が難しいとされています」
多田「原因は何なんでしょうか?」
沓名先生「肺がんの原因の70%はタバコですが、その他に受動喫煙、環境、食生活、放射線、薬品が挙げられます。
タバコには約60種類の発がん物質が含まれており、肺や気管支が繰り返し発がん物質にさらされることにより細胞に遺伝子変異が起こり、この遺伝子変異が積み重なると人によってはがんになります」
主な症状は…
多田「主な症状はどういったものがありますか?」
沓名先生「肺がんの種類、発生部位、進行度によって症状は異なります。
せき、たん、倦怠感、体重減少、胸痛などさまざまですが、これらの症状は他の呼吸器の病気でもみられます。
一方、血痰は肺がんの可能性が高い症状です。
日本人で最も多いのは無症状で、健康診断や、他の病気で胸部エックス線やCTを撮った時に偶然発見される場合です」
多田「ということは、初期の段階では自覚症状はないということですか?」
沓名先生「全身へ広がっていない初期の段階では、がん本体の大きさが2センチ以下だとほとんど無症状で、症状が現れるのはある程度大きくなってからです。
『胸部エックス線による健康診断』で発見される大きさは、たいてい2センチ以上と言われています」
健康診断で見つかることも
多田「そうなるとやはり早期発見を心がけたいと思いますが、肺がんの検査とはどのようなものですか?」
沓名先生「早期発見をするには、レントゲン検査では限界がありますのでCT検査が有用です。
肺がんの大きさが5ミリでも発見可能で、放射線の被ばく量を少なくしたCTによる健康診断が普及しつつあります。
さらに肺がんの精密検査には、1つ目に肺がんであることを調べる検査として、たん検査や気管支鏡を用いた細胞検査があります。
胸水が貯まっている場合は、針を体内に刺して胸水を採取し、がん細胞の有無を調べます」
できるだけ初期段階で発見を
沓名先生「2つ目に肺がんの進行度(がんの広がり)を調べる検査には、全身CT、PET検査、脳のMRIが用いられます。
以上の検査で、肺がんの種類と進行度を明らかにします。
顕微鏡で見て肺がんの種類を決めますが、丸くて小さいがん細胞で構成されているものを小細胞肺がん(肺がん全体の10~15%)、それ以外を非小細胞肺がんと言います。
進行度は、転移のないものから進行がんまで、I期、II期、III期、IV期の順に4段階に分類します」
大同病院・呼吸器内科主任部長の沓名健雄先生が「肺がん」について解説しました。
次回のテーマは「肺がんの治療方法」などについてです。
(新海 優・Yu Shinkai)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年08月03日08時18分~抜粋