多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

医学界に衝撃!ジェネリック医薬品が不足している理由

最近、ジェネリック医薬品が品薄状態になっているそうです。
出荷が滞っているものが約2,500品目もあり、これはジェネリック医薬品の約3分の1にあたるそうです。それはなぜでしょうか。

8月2日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、CBC論説室の後藤克幸特別解説委員に聞きました。

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ジェネリック医薬品とは?

まずジェネリック医薬品とはどういうものでしょうか。

別名「後発薬品」とも言われます。
一方で大手製薬メーカーが最初に開発した新薬は「先発薬品」と言われます。
この特許期限が切れた後に、別の製薬会社が先発薬品と同じ有効成分を含んだ薬を作って販売するものを「ジェネリック」と呼びます。

先発薬品会社は多額の資金と時間をかけて薬品を開発します。だから、特許を与えてその製薬会社が儲かるように権利を保護しているのですね。

一方、特許が切れたということは、そこにある情報は社会の共有財産になったということなので、いろいろなメーカーが同じような薬品を作ることができるわけです。

価格と効き目は?

ジェネリック医薬品は、先発の会社の薬の3~6割程度の価格です。

制度上、効き目と安全性は先発薬品と同じです。
理由は、先発薬品と同じ品質であること、効き目が同じであること、飲んだあと身体の中で成分が溶け出していること、安全でもあることが試験され、このデータを厚生労働省に提出して承認を得る必要があるからです。

ジェネリック医薬品は現在、出回っている薬品の8割に達しています。
2011年頃は30%台でしたが、ここ10年ほどで2倍以上に急成長しました。

不正の発覚

ところが、そのジェネリック医薬品が、最近品薄になっています。
理由について後藤委員が解説します。

後藤「ジェネリックメーカーの間で健康被害とか不正の発覚が相次いでいます。メーカーの中には、国から出荷停止など厳しい措置を受けているところもあります。

富山県のあるジェネリックの大手メーカーでは、厚生労働省に提出した資料とは違う不適切な手順で製造していてダメだと業務停止命令を受けました。
この他にも複数のジェネリックメーカーで同じような不祥事が相次いでいます」

品薄なわけ

その薬が標榜している効果はなかったことになり、信頼が揺らいでいるわけです。品薄になっている理由がこれです。

後藤「新薬を作っているメーカーは巨大資本の大手メーカーなので、生産体制も全国に充実したものを持っています。が、ジェネリック医薬品は中小企業も数多くあります。

あるジェネリック医薬品が出荷停止の処分を受けると、別の会社にその同じ薬の発注が殺到します。
別な会社が中小だと、今までの生産ラインで手いっぱいで、他に対応できない。すると別の会社にまた発注がいく。
玉突き状態で、ジェネリック薬品業界全体で供給不足の波が広がっています」

信頼の回復を

製造段階で手抜きがあり、健康被害ももたらす薬が出回っていたとなると、ジェネリック全体に対する信頼感が落ちてしまいます。

後藤「業界全体で深刻に受け止めるべき事態です。第三者による品質管理や製造工程の監査を導入すべきと言われています。行政の側も報告書を受け取るだけでなく、しっかり検査をする、業界のチェックにあたるべきだと考えられています。

命にかかわる業界ですから、ジェネリックの信頼回復にむけた取り組みが今、求められています。我々もそれに関心を持っていくべきです」

国も推奨の責任が

ジェネリック医薬品を推奨してきた国の信用にもかかわる事態です。

後藤「医療費の削減にもつながるとして、安価で品質が同じ薬であれば広めるべきというのが国のスタンスです。
医薬品の8割を目指すという目標を達成しました。品質チェックを企業まかせにせず、行政の側もしっかりチェックするという政策を進めて欲しいです」

すっかり定着したジェネリック医薬品ですが、その製造についてはしっかり関心を持ちたいものです。
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年08月02日07時21分~抜粋

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