7月の平均気温が23度ほどのイギリスを熱波が襲いました。リンカンシャー州のコニングスビーでは、観測史上最高の40.3度を記録。
その他、フランス、スペイン、ポルトガルでも40度を超え、多くの方が熱中症で亡くなったり、山火事が頻発したりする事態となっています。
7月22日の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、
気象予報士でもある沢朋宏アナウンサーが、ヨーロッパで猛威を奮っている熱波について解説しました。
イギリスで過去最高気温を記録
番組宛てに熱波に関し、次のような質問が届きました。
「イギリスでは40度を超えたんですよね。ヨーロッパはどうなってるんですか?」(Aさん)
ロンドンの平均気温は23度ほどだそうです。
地球温暖化で世界全体が暑くなっているように感じられるかもしれませんが、なぜ今、特にヨーロッパを熱波が襲っているのでしょうか。
沢「地球温暖化というと、なんとなく地球全体が一様に気温が上がっているようなイメージがあるんですが、実は地球温暖化の正体ってそうじゃないんですね。
局所的に気温が上がる、まだらなんです」
熱波の原因は偏西風
ではなぜ、まだらに気温が上がるのでしょうか?
沢「この原因が偏西風ってやつなんです。
地球全体を一周していて、私がよく言うイメージが孫悟空の頭にあるリングのような感じで、ぐるぐる回ってます。
これが(東西に)まっすぐぐるっと一周してたらいいんですけど、ヘビがうねるかのように蛇行している状態。
地球温暖化がひどくなると何が起きるか、その1つの事象といわれているのが、蛇行の幅が北に大きく南に大きくなるんです。
となると、北に蛇行した時には今まで来なかった場所にまで、北に偏西風が上がっていく。
北に上がっていくということは、南から暖かな空気を今まで届かなかった場所にグーッと運んでいくということになってしまうんです。これが熱波の原因」
南北の位置でいうと、日本とヨーロッパは同じ程度に感じる人も多いと思われますが、実はヨーロッパは想像より北にあります。
札幌と同じぐらいの緯度にあるヨーロッパの都市は、イタリアのフィレンツェやフランスのマルセイユあたりで、パリやウィーンはもっと北になります。
それぐらい北にある都市にまで暖かい風がやってきているのです。
熱波はいつまで続く?
そして、熱波のもう1つの理由は、偏西風が動かなくなるため。
ヨーロッパでは大きく蛇行したうえに、動きが固定されている状態が続いています。
偏西風が北から下がった時に雨が降るのですが、南から上がった時に雨が降らず、暖かな空気が入って来ることで、熱波と乾燥のダブルパンチを食らってしまい、暑さが増すのだそうです。
この状況はしばらく続くのでしょうか?
沢「特にスペインやポルトガル、イタリアといったやや南部に近い国のほうが、長く続く影響が懸念されています」
どうやら今年だけに限った現象ではなさそうですが、今後、日本にも波及することはあるのでしょうか?
沢「実は起こり得ます。アメリカでも起きていますが、日本の(今年)6月下旬にあった季節外れの40度、あれも一種の熱波と考えられますよね。
実はアメリカ、日本、ヨーロッパは北極から見ると、きれいに3方向なんです。
これがちょっとずつずれて熱波が起きるのが、よくある三波型。
ひょっとすると、ヨーロッパの熱波がやがてずれて、日本のあたりにやってくる可能性があります」
多田しげおは「聞かなきゃ良かった」とガックリしましたが、あらためて地球温暖化を防ぐにはどうしたら良いのか、真剣に考えなければならないという気持ちになりました。
(岡本)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
この記事をで聴く
2022年07月22日08時04分~抜粋