多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

「洪水」にどう備える?気象予報士・防災士アナウンサーが解説

例年、7月上旬に日本各地で大雨が降り、洪水が発生しています。そしてそれは今年も例外ではありません。洪水が起こる背景には、地球温暖化による気候変動の影響があるといわれています。

7月20日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、気象予報士であり防災士でもある沢朋宏アナウンサーが、洪水と人類の歴史、そして洪水への備えについて解説しました。

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洪水が育んだ四大文明

世界的な定義では、本来水がない陸地に水が来てしまうことを「洪水」といいます。つまり大雨が降って川が氾濫した、ということだけではないということです。

典型的なものとしては、春先に起きる「雪解け水の雪崩による洪水」があります。また堤防もないナイル川は、雨季になると年に1回は必ず洪水を起こします。

「古代のエジプトの歴史を振り返ると、そういうことによって肥沃な大地が生まれたんだと、歴史の教科書で習いました。つまりあれは洪水なんだ」と納得の多田しげお。

エジプトのみならず、チグリス・ユーフラテス川のメソポタミア文明、インダス川のインダス文明、黄河文明と、世界四大文明はすべて洪水が育んだといわれています。

洪水は「諸刃の剣」

「つまり歴史を振り返ると、洪水とともに人の営みはあったと言っていいわけですか?」と尋ねる多田に、「だから世界銀行が注目しているんです」と沢。

世界銀行のチームは、「100年に1度」レベルの洪水が起きると浸水が15センチを超える恐れがある地域に、世界で約18億人が暮らしているとの分析をまとめていました。15センチの浸水でも、経済活動や暮らしに混乱が生じるとしています。

沢「かつてのかつては、洪水によってもたらされる上流からの肥沃な大地、これが人類を潤していた。ところが現代では、水をコントロールしないと人間社会が水に脅かされている」

多田「歴史的に振り返ると、人は平らなところに住みたい。水があふれても絶対大丈夫な山の上には住みたくない。平らな部分で作物を作りたいが、洪水が起きやすい。本当に洪水とともにいろいろな生活の営みがずっと続いてきたということなんですね」

つまり洪水は「諸刃の剣」というわけです。

鉄道が洪水を忘れさせた

江戸時代の人々は、雨が降るときには家財を持って、山の上の炭焼き小屋で夜を明かしていました。

家は流されてしまうけれども、人々は肥沃な土地が運ばれてくることを期待していました。化学肥料のない時代には、洪水が唯一の肥料だったというわけです。

時が流れ、農業従事者以外の人も平らな土地に住むようになりました。鉄道という文明の発達が「洪水を忘れさせた」ともいわれています。

鉄道は坂がないところを走ります。平らなところに駅ができると、その周りが栄えます。これが20~30年繰り返されることで、いつしか人々は洪水のリスクを忘れてしまったのです。

多田「でもそこは本当は洪水のリスクが高いところなんだよ、ということであって。極端な言い方をすると、本来人が住むところではないところに現代は人が住んでいる。逆の発想で、川の水を溢れないようにする方法を考えようぜ、という順番なんですね」

日常で心がけておくこと

沢「自然界から見れば『お前ら、なに逆をやってるのよ』と」

本来は危険な土地に、人間は勝手に住むようになり、勝手に堤防を作りました。しかしいざ川から水があふれると大被害が起こってしまうため、洪水というものにセンシティブになり、河川の水位を管理し、ITの力を使って住民の避難を促すようになったのです。

防災士の資格を持つ沢に、多田は「洪水について基本的にはどう考えていけば良いのか」と尋ねます。

沢によると、日々の生活の中で心がけておいた方が良いことは2つ。

1つは、雨が降ったときに、家の前の水が右か左かどちらに流れるかを見ておくということ。

これによって、いざ大水が来た時に「右に逃げるか左に逃げるか」のヒントにできるというわけです。

もう1つは、洪水の注意度が高まった時に家から逃げられない場合を想定しておくこと。普段から2階に避難グッズを置く、などが考えられます。

日頃から、洪水から身を守るための対策を考えておく必要があるということです。
(minto)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年07月20日07時28分~抜粋

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