多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

ルーツはフランス料理だった!?「トンカツ」の日本はじめて物語

日本三大洋食のひとつ「トンカツ」。いまや現代人の食卓に欠かせないメニューですが、そのルーツはなんとフランス料理にあるようです。

6月22日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』。

身近な物の歴史について、CBC論説室の北辻利寿特別解説委員が解説する「日本はじめて物語」のコーナーでは、トンカツについて取り上げました。

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日本人には重かったフランス料理

とんかつの起源は、フランス料理の「côtelette」(コートレット)という肉料理にあります。

コートレットとは、薄切りにした仔牛肉に細かいパン粉をまぶし、バターを敷いたフライパンにのせて香ばしく焼き上げた料理のことです。

トンカツが生まれたのは、1895年(明治28年)東京・銀座に開店した洋食レストラン「煉瓦亭」。

創業者の木田元次郎さんはこのコートレットに注目しましたが、「日本人には脂っこくて胃に重い」ことから、自分のレストランで提供するための工夫を考え始めました。

この時、木田さんの脳裏にひらめいたのは、当時屋台で人気だった「天ぷら」でした。

天ぷらを参考に揚げてみた

天ぷらの作り方を参考に、「コートレットを油で揚げてみよう」と思いついた木田さん。鍋にたっぷりの油を入れ、天ぷらの衣をイメージしながらいろいろな揚げ方を試しました。

肉も、高級品の仔牛から庶民も気軽に食べられる豚に変更するなど試行錯誤を重ね、煉瓦亭開店から4年後、新メニュー「ポークカツレツ」が誕生したのです。

ポークは豚。カツレツはコートレットを日本人向けに読みやすくしたものです。
※「コートレット→カットレット→カツレツ」

それでも「ポークカツレツ」にはまだ気取った印象が残ります。最終的に豚の「トン」とカツレツの「カツ」だけが残り、現在の「トンカツ」という名前になったというわけです。

トンカツ定食へと進化

当初、トンカツの付け合わせはニンジンやポテトなど洋風の温野菜でしたが、これを生の千切りキャベツに変更。

ソースもデミグラスソースからウスターソースへと、どんどん日本風に進化していきました。

そして、パンの代わりにご飯と味噌汁。今では定番のトンカツ定食は、こうして完成したのです。

西洋料理からトンカツの誕生までが第1幕。ここから「トンカツ物語第2幕」の開幕です。

「この第2幕こそ、日本の食文化の奥深さを見せつけるもの」と、鼻息を荒くする北辻委員。

「トンカツ物語第2幕」

ある大学生が、町の食堂で「トンカツを玉子でとじてみてよ」と店主に依頼したことから始まったのが「カツ丼」。

「ウスターソースをかけたトンカツを、千切りキャベツと一緒にご飯の上に乗せてみよう」と思いついて完成したのが「ソースカツ丼」。

カレーライスを食べていた人がトンカツも注文し、カレーにつけて食べた。これが「カツカレー」の始まりです。

サンドイッチの具に、たまたまカツを挟んでみたら「カツサンド」に。

トンカツのポテンシャルの高さに、「すごいな!日本人の工夫ってすごいですね!」と感心する多田しげお。

フランス人も認める味に

そして、ここ東海地方にも忘れてはいけないカツ料理があります。
そう!今や、なごやめしの代表格となった「味噌カツ」です。

日本でトンカツになったコートレットは、カツ丼、ソースカツ丼、カツカレーにカツサンド、そして味噌カツにまで進化を遂げました。

北辻「この進化こそ、日本の食文化の凄腕。大したものですよね」

多田「フランスから来た人も『トンカツ定食おいしいですね』と、日本のものとして認めてくれてますもんね」

北辻「まさか自分たちのコートレットがこんな風になってるとは思いませんよね」

日本は、伝統の天ぷらの技で、西洋料理を見事「トンカツ」という独自の料理に生まれ変わらせました。

「トンカツはじめて物語のページには、日本の食文化のあゆみ、その確かな1ページが香ばしい揚げたてで刻まれています」と、味わい深い表現でまとめた北辻委員でした。
(minto)
 
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2022年06月22日07時42分~抜粋

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