多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

骨であり歯でありエサである?知られざる魚のウロコ事情

魚を調理する時に取るウロコ。そもそも魚にとって役割を持つのでしょうか?

5月31日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』(CBCラジオ)では、三重大学の生物資源学研究科の名誉教授、木村清志先生に聞きました。

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魚にとってウロコとは?

「真皮の中にできた骨だと思ってください。皮骨(ひこつ)と呼ぶ場合もあります。成分的にも構造的にも非常に薄くなった骨です」と説明する木村先生。

ウロコの一番の役割は身体の防御です。
捕食者から身を守る手段として、進化した薄い骨がウロコなんだそうです。

また防御以外に意外な役割もあります。

木村先生「骨ですからウロコはカルシウムを含んでるわけですね。だからウロコはカルシウムの貯蔵庫的な役目もしているといわれています」

身体に卵をたくさん貯める時は、カルシウムがたくさん必要になってくるので、ウロコに貯めたカルシウムを再び体内に吸収するのだそうです。

サメのウロコは骨じゃない?

魚にとってはいろんなタイプのウロコがあります。
例えばサメには、表皮をよく観察するとザラザラしたウロコがあります。

サメ類のウロコは特別で、骨ではないそうです。

木村先生「あれは歯なんですよ。口にある歯。あれが身体全体に生えてると思っていただければいいです」

海の中を前進するには、水流が綺麗に身体に沿って流れていく方が有利です。
そのためにサメは綺麗に列をなしたウロコを持っているんだとか。

さらに驚くことに、サメの歯はウロコが進化したものなんだそうです。

ヌルヌルのウナギは?

そしてこちらも一見ウロコがないと思われるウナギ。

木村先生「非常に細かいウロコを持ってます。身体を覆っている粘液を包丁なりで、削り取っていくとウロコが見えてきますよ」

また川魚の鮎も見た目はツルッとしていますが、細かいウロコを持っています。

ところが、ウナギの体表に似たアナゴやナマズにはウロコが全くないそうです。
これはなぜでしょうか?

木村先生「ウロコを持つことは防御にはなるんですが、逆に身体が動きにくくなる。
戦国時代の鎧、甲冑を着た人を想像して下さい。重いし、非常に動きにくいんですね」

ヌルッと身をくねらせて逃げたり、泥の中にもぐったりして敵から身を守ることができれば、それほど防御は必要ではないんだそうです。

SDGsな魚

他の魚のウロコを魚がいるそうです。

木村先生「代表的なものは、アフリカのタンガニーカ湖にいる、ペリソダスっていう種類の魚です。
これは餌になるウロコを持ってる魚の斜め後ろぐらいからぶつかって、その時に口でウロコを剥がして食べるんですよ」

ペリソダスはウロコしか食べないという不思議な魚だそうです。
ちなみにペリソダスの口は、相手の魚にぶつかってウロコをはぎ取りやすいように、口が斜めについているということです。

ちなみにペリソダスには、斜め右後ろからぶつかるタイプと斜め左後ろからぶつかるタイプ。つまり右利きと左利きがいるそうですが、どうしてそうなるのかはまだ分かっていないようです。

魚のウロコは食べられて失っても、しばらくすると再生するそうです。
元に戻ったら、再びペリソダスのエサとなるわけで、ある意味SDGsな生態と言えますね。 
(尾関)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年05月31日07時18分~抜粋

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