多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

痛みや変形も起こってしまう「母指CM関節症」とは?

専門医が身近な病気のことをわかりやすく解説する『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』(CBCラジオ)のコーナー「健康で生きる」。

5月のテーマは「手に関する病気」です。


生活の中で欠かせない重要な「手」ですが、わたしたちの身体の中ではどのような働きをしているかわからない方も多いのでは?

5月25日の放送では大同病院の副院長で、手外科・マイクロサージャリーセンター長の篠原先生が解説します。


 


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どのような病気?

先週のテーマは手の病気で多いと言われている「手根管症候群」でしが、今週は「母指CM関節症」についてです。

多田「母指というのは親指のことですよね?母指CM関節症とはどういったものなのでしょうか?」

篠原先生「母指とは親指のことで、親指の付け根には 、親指が他の指と向き合ってつまむ動作ができるように、動きが大きいCM関節という関節があります」

多田「確かに改めて見てみると、親指だけ違う方向を向いているから物が掴めるわけですね」

篠原先生「そうなんです。よく動くために使いすぎや老化に伴って、関節の軟骨がすり減りやすく、進行すると関節が変形して母指CM関節症になります」

多田「関節がすり減って変形してしまうんですか?それはかなり痛いんでしょうか?」

篠原先生「親指の付け根部分が腫れてきて、押すと痛みます。物をつまむ時や瓶の蓋を開ける時など、親指に力を入れる動作で強い痛みが出ます。

変形が進行すると関節が半分外れる亜脱臼になります。亜脱臼になると親指が開きにくくなり、親指の変形も目立つようになります」

原因は指の使い過ぎ?

多田「この原因はどのようなものが考えられますか?」

篠原先生「主な原因は指の使い過ぎや加齢などです。更年期以降の女性がなりやすく、特に閉経後は発生頻度が高くなります。

ばね指や手根管症候群と同様に、エストロゲンという女性ホルモンの変化が関連していると言われています」

多田「診断方法はどのようなものがありますか?」

篠原先生「触診で母指CM関節部の腫れや痛み、関節が亜脱臼しているかどうかを確認します。
レントゲン検査で関節の隙間がなくなっている、亜脱臼しているなどの変形を認めれば診断がつきます」 

治療方法として

多田「この病気の治療方法としてはどうしたらいいでしょうか?」

篠原先生「保存療法として、まずは親指を安静にします。装具を使って親指を固定することもあります。

痛みを抑えるために消炎鎮痛剤の内服薬や貼り薬を使います。
関節の腫れを抑える「ステロイド」という薬を少量の局所麻酔薬と一緒に関節内に注射することで症状を和らげることもできます。

保存療法を行っても症状が改善しない場合は、手術を行います」

多田「保存療法でうまくいかないと手術となるんですね。これは難しい手術ですか?」

篠原先生「手術は大きく2つの方法があります。
ひとつは関節をネジなどで固定する『関節固定術』です。関節を固定することで、痛みは改善し、親指に力が入りやすくなることで力強い作業がしやすくなる特徴があります。

しかしながら、関節を固定することで親指の動きが制限されます」

早めに病院へ

篠原先生「もうひとつは変形した関節の一部を切除して靭帯を再建する『関節形成術』です。

痛みは改善し、関節固定術に比べて親指が動かしやすく、細かな作業がしやすくなる特徴がありますが、握力やつまむ力が落ちる場合があります」

多田「こういった手術である程度治ると思っていても良いのでしょうか?」

篠原先生「基本的には治ると思っていただいて大丈夫です。しかしながら100%というわけにはいきません。
どうしても手は無意識に常に動かしています。少しでも違和感や痛みなど心配があれば、早めに手外科医の診察を受けることをおすすめしています」

今月は大同病院の副院長で、手外科・マイクロサージャリーセンター長の篠原先生が「手の病気」を解説してきました。

来月のテーマは、こどもの病気・小児外科についてです。
(海野優)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年05月25日08時15分~抜粋

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