多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

あまり聞き慣れない手の病気「手根管症候群」とは?

専門医が身近な病気のことをわかりやすく解説する『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』(CBCラジオ)のコーナー「健康で生きる」。



5月のテーマは「手に関する病気」です。

生活の中で欠かせない重要な「手」ですが、わたしたちの「身体の中」ではどのような働きをしているかわからない方も多いのでは?

大同病院の副院長で、手外科・マイクロサージャリーセンター長の篠原先生に教えていただきます。


5月18日放送分から。

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「手根管症候群」とは?

先週話題になってのは手の病気で多いと言われている「ばね指」。
今週は「手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)」がテーマです。

聞き慣れない病名かもしれませんが、先週お送りしたばね指同様、患者さんは多いそうです。

多田「手根管、いわゆる手の根の管ってどの部分なのでしょうか?」

篠原先生「手根管とは、手首にある骨と靭帯に囲まれた空間のことです。
ここには指の感覚や運動機能をつかさどる正中神経という神経と、指を動かすための筋、医学的には腱といいますが、この腱が9本通っています」

多田「手根管がどうなってしまうんですか?」

篠原先生「この手根管部で、正中神経が靭帯に圧迫されて神経障害が起こり発生するのが手根管症候群です」

目が覚めてしまう痛みも

多田「主な症状は手のしびれですか?」

篠原先生「初期には、親指から薬指までしびれを感じます。手のこわばりを感じる方もいます。

進行すると、触った感じが鈍くなってきて、夜間や明け方に親指や人差し指、中指などがしびれて痛いと感じて目が覚めたりします」

多田「手がしびれて、特に明け方に痛みが強く目が覚めるとは驚きですね。
それでは日常生活では手を使うのが難しくなってしまいますよね?」

篠原先生「痛みが強いとよく眠れませんし、手を普通に使うことが難しくなります。

痛みが少なくても、触った感じが鈍くなり、親指の付け根の筋肉がやせてくるため、小銭をつまみにくい、ボタン掛けができない、湯飲みが持ちにくいなど、日常生活動作がかなり不便になります。

また、この病気はある程度悪くならないと症状が出ない、ということもあるんです」

原因は…

多田「原因はあるのでしょうか?また、どんな方に多いですか?」

篠原先生「手根管の中に腫瘤ができて発生することもありますが、多くの場合は原因は明らかではありません。
ばね指と同様に、更年期の女性に起こることが多く、妊娠時にも生じることがあります。

エストロゲンと言う女性ホルモンの変化が関連していると言われています。

また、手首の骨折後や手を頻繁に使う職業の方にも発生し、長期透析患者さんにも多く見られます」

多田「簡単に診断できるものなのでしょうか?」

篠原先生「しびれの部位や、親指の付け根の筋肉の状態を確認します。
手首を叩くとしびれが指先に響いたり、手首を曲げた状態にしているとしびれが強くなるといった『誘発テスト』や、神経の機能を調べる『神経伝導速度検査』などを行って、神経がどれくらいダメージを受けているか客観的に診断します」

治療法もさまざま

多田「治療方法はありますか?」

篠原先生「保存療法として、まずは手を安静にします。装具を使って手首を固定することもあります。

痛みを抑えるために、消炎鎮痛剤や神経疼痛治療薬を内服したり、手根管内に腱の腫れを抑える『ステロイド』という薬を少量の局所麻酔薬と一緒に注射することで、症状を和らげることもできます。

保存療法を行っても症状が改善しない場合は、靭帯を切って神経の圧迫を取り除く手術を行います。
筋肉がやせてしまうと、手術をしても筋肉が元に戻らない可能性があるので、筋肉が完全にやせてしまう前に手術をすることを検討します」

大同病院の副院長で、手外科・マイクロサージャリーセンター長の篠原先生が手の病気・手根管症候群」について解説しました。

次回のテーマは手の病気「母指CM関節症」についてです。
(海野優)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年05月18日08時14分~抜粋

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