多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

手の病気で多い「ばね指」とはどんなもの?

専門医が身近な病気のことをわかりやすく解説する『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』(CBCラジオ)のコーナー「健康で生きる」。

5月のテーマは「手に関する病気」です。


生活の中で欠かせない重要な「手」ですが、わたしたちの身体の中ではどのような働きをしているのでしょうか?

ここでは大同病院の副院長で、手外科・マイクロサージャリーセンター長の篠原先生が解説します。


5月11日放送分から。

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そもそも「ばね指」とは

前回はわたしたちは生活の中で無意識に「手」を使っているというお話から、障害を負うといかに日常が制限されるかという話でした。
今回のテーマは、手の病気で多い「ばね指」についてです。

多田「ばね指とはどんな病気なのでしょうか?」

篠原先生「指を曲げる動作は、屈筋腱という筋が、効率よく骨に沿って動くように作られた腱鞘という、いわばトンネルのような組織の中をなめらかに往復し、筋肉の力を関節に伝えることで可能になっています。

ところが、なんらかの原因で腱や腱鞘が腫れることで腱の通りが悪くなり、曲げた指を伸ばそうとしても、指の伸ばしが滑らかにできず、途中で引っかかったように動かなくなります。

この時、無理に力を入れて伸ばそうとすると、ばね仕掛けのようにカクンと弾けるようになるため、こうした状態をばね指と呼びます。

朝起きた時に症状が強いのが特徴で、親指に一番多く発生し、中指、薬指もよく発生します」

発生原因について

多田「手の病気の中で患者さんが多い病気だそうですが、患者さんは具体的にどんな症状を訴えて病院に来るのでしょうか?」

篠原先生「指の付け根の痛みや腫れ、指が引っ掛かって伸ばしにくい、指がカクカクする、指が伸ばせない、曲げられない、朝に手がこわばって動かしにくいなど、さまざまな症状を訴えられて来られる方が多いです」

多田「これらの症状はどんな方に多いですか?」

篠原先生「更年期の女性に起こることが多く、妊娠時、産後に生じることもあります。
これはエストロゲンという女性ホルモンの変化が関連していると言われています。

糖尿病や長期透析患者さんにも多く見られます。透析患者さんの場合は、透析膜では除去しにくい小さなタンパク質がアミロイドという物質になって腱や腱鞘に沈着することで発生します」

治療法は…

多田「治療方法はどのようなものがありますか?」

篠原先生「保存療法として、まずは手を安静にすることが大事です。痛みがある場合は、痛みを抑えるために消炎鎮痛剤の内服薬や塗り薬を使います。

症状が強い場合は、腱鞘の中の腱の腫れを抑える『ステロイド』という薬を少量の局所麻酔薬と一緒に注射します。

そうすることで筋の腫れが治まって、指がうまく動くようになります。

保存療法を行っても症状が改善しない、指が曲がったまま伸びないといった場合は、トンネルである腱鞘を一部切り離し、腱の通りをよくする手術を行います。

指の付け根の皮膚を1~1.5センチ程度小さく切開するもので、局所麻酔の日帰り手術となります。手術を行えば再発はほとんどないですよ」

次回のテーマは、手の病気「手根管症候群」についてです。
(海野優)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年05月11日08時16分~抜粋

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