多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

無意識に多数のことを行っている「手」。その重要性とは?

専門医が身近な病気のことをわかりやすく解説する『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』(CBCラジオ)のコーナー「健康で生きる」。

5月のテーマは「手に関する病気」です。

生活の中で欠かせない重要な「手」ですが、わたしたちの「身体の中」ではどのような働きをしているかわからない方も多いのでは。

5月4日放送分では大同病院の副院長で、手外科・マイクロサージャリーセンター長の篠原先生が解説します。

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「手」の専門外科

多田「手の専門の外科があるんですね?」

篠原先生「人間は2本足で歩くようになったことで、手を自由に使えるようになりました。

手で道具を合理的に使うことで人類は進化してきましたし、親指と人差し指で物をつまむことができるのは人間だけです。

私たちの生活の中で手はとても大事な役割をしていますが、この手の怪我や病気を専門的に治療するのが手外科です。

日本の手外科治療は世界的にもレベルが高く、マイクロサージャリーという技術で切断された指を元につなぐ手術を世界で初めて成功させたのも日本の医師です」

マイクロサージャリーとは?

多田「マイクロサージャリーとはどういうものですか?」

篠原先生「普通は手術部位を直接目で見て外科手術を行いますが、マイクロサージャリーとは、手術用拡大鏡(ルーペ)や顕微鏡を使って微細な手術を行う技術です。

数mmもしくは1mm以下の非常に細かい血管や神経をつなぎ合わせます。

このマイクロサージャリーを使うことで、切断された指を元につなぎ直すことができますし、怪我やがんの手術による骨や皮膚などの組織欠損や運動機能障害を、できるだけ元に戻す再建術が可能となります」

重要な部位

多田「普段、わたしたちは無意識に手を動かしていますが、手に特化した外科があり顕微鏡を使った細かい手術が行われているということは、手がいかに重要な部位であるかということなのですね」

篠原先生「私たちは、字を書く、食事、家事、化粧などの日常生活だけでなく、手作業、パソコン操作、楽器演奏、絵を描く、テニス、ゴルフなどの仕事や趣味、スポーツ、さらには握手をする、手を振るなどのコミュニケーションの手段としても手をほぼ無意識に使っていますよね」

多田「なるほど、私たちの生活の様々な場面で手は大活躍していますね。それにしてもほぼ無意識で動かしているというのがすごいですね」

篠原先生「脳の中には動作を指令する『運動野』と感覚を感じ取る『感覚野』があります。

驚くことに、この2つの領域で手は大きな割合を占めています。
運動野では全体の約3分の1、感覚野は約4分の1を占めています。

脳の領域の3分の1が手をコントロールするために使われていて、手と脳は密接に関係しているので、手は第2の脳と言われているのです」

無意識に使っていたことを痛感

多田「この重要な手に障害を受けると、日常生活に大きく影響してしまいますよね?」

篠原先生「手のしびれ、触った感覚、熱い・冷たいがわからないなどの感覚障害や、痛みの障害、指を動かそうとしても動かないなどの運動障害など、手には様々な障害が生じます。
これらの障害が重なっていることも少なくありません。

手が障害されると、先ほどお話した日常生活、仕事、趣味、スポーツ活動は大きく制限されますので、手が障害されて初めて、いかに無意識に手を使っていたかを痛感することになります。

また、手が不自由なことで、自信を失ってしまうこともあります。手は私たちの生活になくてはならないものなのです」

次回は、手の病気「ばね指」について教えていただきます。
(海野優)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年05月04日08時16分~抜粋

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