多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

生命活動に大きな役割を担っている「腎臓」の働きとは?

専門医が身近な病気のことをわかりやすく解説する『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』(CBCラジオ)のコーナー「健康で生きる」。

4月のテーマは「腎臓」です。
ひとくちに腎臓といっても、わたしたちの身体の中でどのような働きをしているかわからない方も多いのでは。

ここでは大同病院(名古屋市南区)副院長で、腎臓内科主任部長の志水先生が、重要な臓器である腎臓の働きについて教えます。
 
4月6日放送分から。

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重要な役割を担う腎臓

志水先生「腎臓は、身体の背中側の腰より少し上に左右に2つあり、ソラマメのような形をしています。
1個の大きさは人の握りこぶしよりも少し大きく、重さは150gと他の臓器に比べてそれほど大きくはありません。

しかし心臓から送り出される血液の4分の1が流れ込んでおり、生命活動や健康維持に大変重要な役割を果たしています」

多田「血液がたくさん流れ込んでいるんですね。他には主にどんな働きをしているんでしょうか?」

志水先生「一番重要な目的として体内の水分、これを体液といいますが、この体液の状態を良い環境に維持する役割を担っています。

人の身体は60~100兆個の細胞から成り立っていますが、この細胞がまとまって臓器を作っています。

その構成成分で一番多いものは水であり、年齢、性別、体格にもよりますが、水は体重の50~80%を占めています。

小さな子供は約80%と水の割合が多いです。水分の出し入れによる様々な変化に対応して精密な調整を行っているのが腎臓なのです」
 

常に最適な環境に

多田「体内の水分を良い状態に維持する重要な役目を担っている、と考えればいいのでしょうか?」

志水先生「例えば、水槽で魚を飼育している状態をイメージしていただくと理解しやすいと思います。水槽に与えた餌や魚が出す老廃物により水槽の水が汚れていくため、水を綺麗にしないと魚は死んでしまいますよね。

この水槽清浄機に当たるのが腎臓です。

腎臓には血液をろ過して、身体の中に溜まった老廃物や水分、また摂り過ぎた塩分など尿として排泄することで、身体の中の水分量を適正に保ち、体内を常に最適な環境にしているんです」
 

血液から作り出す尿

多田「では、尿はどうやって作られるのですか?」

志水先生「各臓器の細胞が出した老廃物を血液に乗せて腎臓まで運び、血液から尿を作り出します。

心臓から送り出す血液の4分の1が腎臓へ送られる理由の1つです。
そして尿は2段階で作られ、腎臓には糸球体と尿細管があります。
1段階目は糸球体で行われ、血液をろ過して尿の素を作ります。

糸球体は毛細血管が毛玉状の塊になっており、ざるの目のようになっていて、身体にとって重要な赤血球や蛋白は濾されません。

2段階目は糸球体でろ過された尿の素から必要な成分を吸収して血液中に戻します。
この糸球体で尿の素は1日で約155リットルも作られているのです。

そして尿細管で99%以上が吸収されて、最終的に1日に1.5リットルの尿として排泄されています」
 

発達をしてきた「腎臓」

多田「腎臓は1日に1.5リットルの尿が作られ、とにかく不要なものはろ過して排出してくれるというのが一番大切な役目ということですね」

志水先生「そうなんです。興味深いことに生命は単細胞として太古の海の中に生まれ、そして進化し陸に上がりました。
陸に上がったのちも、太古の海と同じ組成の液体を細胞の外にまとっています。

陸に上がっても、太古の海の組成である体液を維持するために腎臓が発達した、と言われているんです」

大同病院の副院長で腎臓内科主任部長の志水先生による「腎臓の働き」の話でした。
(海野優)
 
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2022年04月06日08時12分~抜粋

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