3月22日『多田しげおの気分爽快~朝からP•O•N』は、金属の「金」を取り上げました。
純粋に金属としての金は、どういう特徴を持っているのか、名古屋工業大学の名誉教授、齋藤勝裕先生に聞きました。
金は柔らかい
なかなか終わらないウクライナとロシアの戦争。
有事の資産としての金がどんどん値上がりしています。
資産や装飾品になる金ですが、金属としてはそもそもどんな金属なのでしょうか?
金属としての金の特徴は、まず柔らかいそうです。
例えば1グラムの金、これを針金のように伸ばすと、切れずにクモの糸のように伸びていくそうです。1グラムで伸びる長さが2.8キロなんだそうです。
1グラムの金を叩き伸ばしてみると、その大きさはだいたい畳一枚ぐらいまで広がるんだそうです。これが金箔です。
細く伸ばしても切れない、叩き伸ばして薄くしても破れない。柔らかい金だからこそ出来ることです。
金は重い
現在知られている元素、118種類の中で、最大クラスの重さを持つ元素が金だそうです。
齋藤先生「私たちは鉄も石も重いと思いますよね。ところが金はそれ以上に重いんです。比重で比べますと、鉄の比重は約7.8くらい。ところが金は約19もあるんですよ」
比重を簡単に言うと、セ氏4度の水と同体積の物質の重さを比べた時の比です。
この場合は水1に対して同じ体積の金属の重さは約19です。
金は非常に重い金属なので、映画などで出てくる金の延べ棒を軽く持ったりすると、それはあり得ないシーン。実際の見た目よりはるかに重いはずです。
金の「3ない」性質
齋藤先生「さびない。溶けない。変化しない。そのために金は昔から財産と言われるわけです。3000年、4000年前のお面だとかが今でも輝く状態で出て来ています。これはさびないからです」
ツタンカーメンのマスクがピカピカで非常に綺麗なのは、金が安定している金属であり、さびたり、溶けたり、変化しないからです。
さらに金は、銀や銅の次に電気伝導率が良い金属です。上等な家庭電化製品の接点に金が使われています。
銅の方が電気伝導率は良いのですが酸化するため、接点部分は、金属的に安定している金でメッキされているわけです。
スマートフォンにも金が多く使われています。スマホなどは都市鉱山と言われ、使わなくなった大量のスマホから金を取り出せます。
もうすぐ金がなくなる
金属としても資産としても価値のある金。人間は有史以来、沢山の金を掘り出してきました。今に至るまで、人類はどれほどの金を掘り出してきたのでしょうか?
齋藤先生「だいたい18万トンと言わています。そんな数字言われたってピンときませんけども、オリンピックの公式プールがありますね。あれで、だいたい4杯くらいと言われています」
有史以来、全部合わせてたったそれだけの金しか掘り出せていませんでした。世の中にはたったそれだけしか金がありません。貴重なわけです。
今後、掘り出すことが可能だと思われている金の量は?
「だいたい5万トンくらいと言われています。公式プール1杯分ぐらいでしょうか。いま1年間に3,000トン掘っていると言わてますけども、20年足らずでなくなりますね」とサラッと語る齋藤勝裕先生でした。
(尾関)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年03月22日07時23分~抜粋