多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

「東海道新幹線は雪に弱い」実際のところ、どうなの?

雪が降るとよく「雪によりダイヤに乱れが…」というニュースを耳にしますが、新幹線の中でも特に、東海道新幹線で聞かれるようなイメージはないでしょうか。

実際のところ、本当に東海道新幹線は雪に弱いのでしょうか。

3月3日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、そんな疑問に対し、鉄道ジャーナリストの梅原淳さんにお答えいただきました。

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スピードを落とす理由

ダイヤが乱れる原因の1つが速度を落とすからですが、雪の影響を受けている時、どれぐらい落としているのでしょうか。

梅原さん「もともとは時速285kmなんですけれども、雪が降りますと170kmに落としているんですね。

それは線路に雪が積もっていて、しかもスピードを出して走っていますと、線路上の雪が舞い上がって、車両の床下の部分に付いてしまうんですね。

付いたままなら良いんですけれども、それがかたまりになって溶けて落ちるんです。

それが落ちる時、線路には砂利が敷いてあるんですけど、それも一緒に跳ね上げて車両自体が傷ついて、昔はガラスが割れたりしたんです。

その他にもっとひどいのが、沿線の家屋まで飛んでいって屋根瓦を壊してしまったり、ガラスを割ってしまったりということが起きるんですね」

スピードが高ければ高いほど、砂利が飛んでいく勢いもすさまじいということになります。
 

東海道新幹線ならではの弱点

一方で東北新幹線や北陸新幹線では、あまりダイヤの乱れを聞くことがありません。

先ほどの話でいいますと、車両が雪に強いからということではないでしょうが、東海道新幹線とは何が違うのでしょうか。

梅原さん「これは線路にそもそも砂利を敷いていないからで、コンクリートの上に直接レールを敷いて走っているからなんですね」

砂利がないので、そもそも舞い上がって物を壊す心配がないというわけです。

砂利を敷くのは古い方式で、実は1975年(昭和50年)に山陽新幹線の岡山から博多までが開業した時からは、新しい方式になっているとのことです。

さらに雪国ならではの工夫もあるそうです。

梅原さん「そもそも何mも雪が積もる区間がありますけれども、そういったところはスプリンクラーでものすごい量の水をまいているんですね。

1平方メートルあたり1分間に1L、雨量に換算すると60mmで本当に豪雨といっても良いぐらい」

解決策はない?

それなら、東海道新幹線でも水を大量にまいて、雪や砂利を流せば解決するのではないかと思いそうですが……。

梅原さん「砂利自体が崩れてしまう危険があるので、それだけの水をまくことができないんですね。

実際に関ヶ原付近ではスプリンクラーも使っているんですけれども、雪を湿らせて重くして車両が舞い上げないようにっていうぐらいの量の水しかまいていないですね」

そうすると、「砂利を敷くのを止めて、コンクリートの上にレールを敷くように工事すれば良いのでは」と思いがちですが、そう単純ではないようです。

梅原さん「どうやってコンクリートの線路にすれば良いか、研究は進められているんですけれども、一晩に10mぐらいできるかどうかっていうのが最新の技術なんですね。

関ヶ原の区間はどうしても2、30kmありますから、それをやり終えるのに何年もかかるし、しかもそのうえどうしても列車を止めなければいけない期間が出てしまうので、なかなか踏み切れない」

レールを作り替える間は新幹線を運休しなければなりませんが、それは1、2日でできることではないようです。
 

解決案が浮かび上がるも難航

他にも何とか解消できないか、さまざまな案が挙がっているそうです。

梅原さん「砂利の部分にネットをかけるのはどうかとか、実際に東北新幹線では那須塩原とか砂利の区間が南側にあるんですけれども、接着剤とかネットとかあるんです。

しかし、クッションの機能がなくなってしまったり、メンテナンスがしづらくなるので、駅構内くらいの短い区間なら何とかなるんですけど、やっぱり岐阜羽島と米原の間ぐらいの長い距離になると難しいというところですね。

あとは線路に屋根をつけるというのもありますけど、これも大変」

東海道新幹線が雪で遅くなるのには、理由があったようです。
(岡本)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年03月03日07時20分~抜粋

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