多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

「使い捨て」ではないカイロってどんなものだった?

今の時期、外に出る時に欠かせない物の1つがカイロ。

ひと昔前までは「使い捨てカイロ」と呼んでいましたが、今やわざわざ「使い捨て」と付けなくても、カイロといえばすべて使い捨てのことを表します。

そのため、「使い捨てない」カイロがどんな物だったのか、今や知る人は少なくなってきました。

『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』の「日本はじめて物語」コーナーでは、身近な物の歴史について、CBC論説室の北辻利寿特別解説委員が説明します。

2月16日の放送ではカイロの歴史について解説しました。

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カイロの原型は石

カイロは漢字では「懐炉」、ふところに暖炉の炉と書きます。
江戸時代は温めた石、温石(おんじゃく)を着物の懐にしのばせて暖をとっていました。

その後、大正末期になると「ハクキンカイロ」が登場。
手のひらサイズの金属製の入れ物に加熱性の液体ベンジンを入れ、火であぶったあと、しばらくすると温まるので、それを袋に入れてカイロとして使うという物です。

そして、火を使わなくてもよい使い捨てカイロが登場するのですが、誕生のヒントはアメリカ軍にありました。

1970年代に入った頃、アメリカ軍は寒い地域に行く際に水筒の中に鉄の粉と食塩を入れ、熱を発散させて暖を取っていました。

これは鉄がさびる、つまり酸化する時に発生する熱を利用した仕組みについて、すでにこの時代にアメリカ軍は知っていたというわけです。

この仕組みをヒントに、旭化成が初の使い捨てカイロを開発しました。
 

日本発で爆発的ヒットに

その後、菓子メーカーのロッテが1978年(昭和53年)に「ホカロン」を発売。

なぜ菓子メーカーがカイロを製造したのかというと、もともとはお菓子の品質を保つ脱酸素剤を通じて関係のあった日本純水素と共同開発したためです。

ホカロンが画期的だったのは包装の形式で、細かい穴の開いた布製の袋を作り、その中に鉄の粉を入れて、さらにそれをプラスチックの袋の中に入れて空気を遮断したという点。

使用する時にまず外側の袋を破ることによって鉄の粉が空気に触れ、さらに中の布製の袋をもんだり振ったりすることによって、熱の反応を良くするという効果がありました。

この使い捨てカイロにはいくつものメリットがあり、火を使わずに安全、ベンジンと違って臭いがない、軽くて持ち運びが簡単といったことで、爆発的なヒットを生みました。

また、使い捨てで値段が高いと使いづらい物ですが、当時は「100円カイロ」と呼ばれ、今と比べると高価ではあるものの、当時からすると安いということでも人気を呼びました。
 
その後、使い捨てカイロは進化を続け、今やもんだり振ったりする必要もなくなりましたが、当初のカイロを知る人はいまだについ、もんだり振ったりしてしまうのではないでしょうか。

さらに80年代末には貼るタイプや靴下の中に入れるタイプなど、さまざまなタイプの使い捨てカイロが登場し、今や冬の日常生活になくてはならない物となりました。

最後に北辻委員は「鉄の化学反応を利用して、手軽で身近なカイロを発明した日本企業の発想力と開発力。日本の文化の歩み、『日本はじめて物語』の確かな1ページがホカホカと温まっています」とまとめました。
(岡本)
 
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2022年02月16日07時36分~抜粋

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