多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

開拓時代の気持ちが必要?北海道で増えるヒグマとの生活

北海道では、春先になると冬眠から覚めたヒグマが札幌の市街地にも現れて被害が出ています。

2月15日『多田しげおの気分爽快~朝からP•O•N』では「ヒグマ」について、北海道大学獣医学研究院の教授で、ヒグマの会会長である坪田敏男先生に聞きました。

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ヨーロッパでは減少

ヒグマは本州にいるツキノワグマなどと比べたら一回りも二回りも大きいクマです。体長は1.5~2メートルだそうで、日本にいる哺乳類では最大の動物です。

日本では北海道に住んでいますが、ヒグマは世界的に見ると主に北半球に広く生息しているそうです。北米、ヨーロッパ、ロシアを含めたユーラシア大陸。そして北海道。

以前は、ヨーロッパには多数のヒグマが生息していたそうですが、ヒトとの軋轢で数が減っているそうです。
今はスペイン、フランス、イタリアの一部の地域、それに東ヨーロッパのポーランド周辺と生息地が限られているんだとか。
 

北海道では増えている

ヨーロッパでは減っているヒグマですが、北海道では逆に増えています。
北海道のヒグマ、かつては2,000頭以下まで数を減らし、絶滅の危機に瀕した時代もあったそうですが、今は1万頭近くまで増えているそうです。

ヒグマの生息地は森林や開けた草地。
北海道の場合は、どこにでもいると言っても過言ではないそうです。

特に札幌市や帯広市といった大都会に近い周辺の山でも、ヒグマが普通に生息するようになってきています。
ヒグマの活動域が市街地に近いところに広がっていて、人身事故が起こりやすくなっているそうです。
 

ヒグマは何を食べている?

ヒグマは食肉類という動物群に分類されます。
進化の中で草食に傾いた雑食性になった動物だそうです。主に草、植物の根っこ、秋には木の実などを食べているそうです。

ヒグマの食べ物の8~9割は植物性のもの。残り1~2割が鮭、鱒などの魚と、ハチやアリなどの昆虫だそうです。
特に北海道のヒグマは、動きの鈍い鹿の幼獣を捕食することもあるんだとか。
 

熊の冬眠

ヤマネやハムスターは典型的な冬眠をする哺乳類ですが、そういう動物は体温を外気温に近い4度ぐらいまで下げます。
しかしクマの場合はそこまでは下げないそうです。

活動時の体温は37~38度ぐらい。冬眠しても30~35度くらいの範囲で推移して、5度ぐらいしか体温は下げないんだそうです。

しかし、間違いなく心拍数と呼吸数は相当低下していて、ヒグマも他の冬眠する哺乳類と同じように代謝を下げて、エネルギーを節約する生理機構の中で生活をしているということでした。
 

ヒグマのいる生活

ヒグマは冬眠中でも外からの刺激に対しては敏感です。
冬でも山で仕事をする人が、たまたま巣穴に近づき、起きてしまったクマに襲われる事故もあるそうです。

「昔の開拓時代の人は、ヒグマがいるという前提で開拓をしていたので、ヒグマに会ったらどうしたらいいか?が日常的に自分の問題としてあったんだと思うんです」と坪田先生。

札幌や旭川の市民はヒグマとは縁のない生活をしているので、対処法は全く身につけていません。
しかしヒグマ分布はどんどん拡大していて、今後は増えることがあっても減ることはないそうです。

坪田先生「札幌市をはじめとした市街地にヒグマが浸入する恐れのリスクは益々高まっていると言って良いと思いますね」

これからの北海道は都市部でも、開拓時代同様、ヒグマへの対処を身に着けることと警戒が必要なようです。 
(尾関)
 
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2022年02月15日07時22分~抜粋

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