多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

なぜ今、給食のメニューにクジラ肉が復活?

ある世代より上の方にとっては、「クジラの肉」と聞くと、「懐かしい」、「給食に出てた」と感じるかもしれませんが、実は今、鯨肉(げいにく)の竜田揚げなどが、再び給食のメニューに出てきています。

なぜ今さら、鯨肉を使ったメニューが復活しているのでしょうか。

2月9日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、CBC特別解説委員の後藤克幸が、日本の捕鯨事情について解説しました。

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捕鯨禁止から再開まで

ここ最近、特に日本についてクジラを取り巻く環境が変わりましたが、まずはクジラの捕獲に関する歴史からおさらいしましょう。

戦後まもなく、クジラ産業の秩序ある発展とクジラの保護のバランスを取るのを目的として、1948年(昭和23年)に国際捕鯨委員会(IWC)が設立されました。

当時は油やヒゲを利用するためにいろんな国がクジラを獲っていたため、IWCはクジラの保護を目的としていたわけです。

それが次第にクジラ保護一辺倒の国が多数派となり、1980年代になると「商業捕鯨をしばらく止めましょう」と、事実上の禁止を決定。

その後も日本は「資源調査を目的とした調査捕鯨はさせてください」とお願いし、少しだけクジラを獲っていました。

以前「捕鯨禁止なのに、なぜ鯨肉が出回っているのだろう」と思ったことがありましたが、「調査」という体で数は少ないものの、クジラを獲っていたというわけです。

日本は長年、「十分に頭数の多い種類のクジラもいる」ということを主張し続けたのですが、まったく認められず、2019年にIWCから脱退します。

脱退すると捕鯨禁止の制約はないため、商業捕鯨を再開しました。
 

消費量は増えている?

多田がこどもの頃は当たり前のように鯨肉を食べていましたが、日本が食糧難だった時代、鯨肉は安くて栄養価が高く、重要なタンパク源とみなされていました。

1960年代には、日本の鯨肉の消費量は、豚肉や牛肉を上回っていたこともありました。

ただ、多田の正直な鯨肉の印象としてはまずく、こども心に「今、日本は貧しいので、こういう肉しか食べられないんだろう」と感じていたそうです。

あまりおいしくない印象を持つ方も少なくないと思われますが、そうすると、わざわざ今、鯨肉を復活させる必要がないようにも感じます。

商業捕鯨が復活しても、あまり消費されていないのでしょうか。

後藤「IWCが商業捕鯨を禁止して以降は、鯨肉はほとんど食卓に上らなくなっていって、1960年代に年間15万tを消費していたのが、今は3,000t前後とかなり激減しています。

国民1人あたりにすると、スプーン2杯分ということで、ほぼゼロになってる」
 

クジラ漁を続ける意味は?

昔よりも多く獲ってきたからといって、消費量の増加が見込まれない中で、なぜ商業捕鯨を復活したのでしょうか。

後藤「現在3,000tほど在庫がある中で、さらに商業捕鯨で年間2,000tほど供給する予定になっていますので、かなり余ってくるということなんですが、IWCを脱退した後、国会では超党派の議員立法で『鯨類の持続的な利用の確保に関する法律』を2019年に成立させています。

この条文の中に、学校給食での利用の促進という言葉が盛り込まれていまして、主に捕鯨の文化や歴史がある地域を中心に、盛んに鯨肉の給食メニューを復活させていく動きが出てくる」

この法律が元となり、クジラ漁が行われている和歌山や山口、宮城で、イベント的に何度か給食のメニューに鯨肉が出ているとのことです。

単に好き嫌いというだけではなく、昔からの食文化を伝えるという目的で鯨肉を広めているとのことですが、政治主導で進んでいるようにも見受けられる中、クジラ漁の必要性については、あらためて考えなければならないようです。
(岡本)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年02月09日07時19分~抜粋

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