ガソリン価格の高値が続いています。
政府は、今日、石油元売り会社へ補助金を出すという制度を初めて発動します。果たしてこれがうまくいくかどうか、大いなる社会実験、とも言われています。
1月27日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、ガソリンの価格についてCBC論説室 特別解説委員の石塚元章が話します。
制度の発動
この制度は、レギュラーガソリン1リットル小売りの平均が170円を突破したら発動され、1リットル当たり3円40銭ほどの補助金が元売り業者に支給されるというものです。
これで小売り価格をこれ以上上がらないように、あるいは下がればいいという政策ですが、うまくいくのでしょうか。
原油の値上げの原因
では、ガソリンの価格が上がっている理由は何でしょう。
元をただせば世界的に原油の価格が上がっているからです。今どうして世界レベルで原油価格が高くなっているのでしょうか。
石塚「大きいきっかけはコロナがいったん収束しかけたとき、経済が回復するぞ。となるとエネルギーをたくさん使う。そうなると原油を使う、という期待がありました。使われることになるだろうというものは需要と供給の関係で当然価格が上がります。
オミクロン株もありますが、早晩景気も良くなりそうという背景があります」
産油国の思惑
石塚「もうひとつは地政学リスクというか、原油にからむ国々が問題を起こしているとどうしても原油が上がります。たとえば、ウクライナ、中東というところに新たな火種がいくつもあります」
そういったところが生産量を増やさない。つまり需要は高くなったが、供給が増やさない。するとどんどん値段が上がります。
石塚「今は脱炭素です。産油国の思いとしては、これから自分たち儲けられなくなるという思いがある。そうすると値段にそれが反映してきます」
産油国の事情や思惑によって原油価格が上がっているようです。
元売りに補助金
原油を持たない国、日本はただその影響を受けるばかりです。
そこで、レギュラーガソリン1リットル当たりの小売価格が170円を突破して上がっていくと、補助金を出すというルールを決めました。
石塚「去年そういうルールにしましょうと決めました。今年に入って本当に170円を超えました。それで補助金を出すことになりました」
1リットル当たり3円40銭の補助金を石油の元売り業者に出します。
ガソリン価格は下がるのか?
石油は小売りと元売りがあります。小売りはガソリンスタンドや灯油を売る店などです。
石塚「元売りとは原油を精製して石油製品にして小売りへ卸すところです。今は3つ、ENEOS、出光、コスモ石油です。
で、元売りに3円40銭補助するので、元売りから小売りにその分割り引いて卸してくださいという形です」
では、ガソリンは3円40銭下がるのでしょうか?
石塚「それが難しくて、小売りも大変厳しい状況です。3円40銭安く入ってきたからといって、その分下げたら、今までも儲かってないのに大変だという言い分があります。
もうひとつ、何のための3円40銭かというと、値段を下げるためではなくて、今すごく上がってきた、せめて170円に抑えられるようにするためのものなんです。
170円は全国平均なのでもっと高いところもあれば、安いところもあります。いろんな小売り業者があり難しいところです」
日本の行方は…
他に方法はないのでしょうか。
石塚「ガソリンの価格を下げるために、最近は、国家備蓄の放出というのがあります」
多田「これも焼け石に水ですね」
基本的には油をもたない国の悲哀で、そこを知恵を出してなんとかしないといけません。
多田は最後に、「油をめぐっての日本の国家体制の一部を垣間見ていると言えますね」と締めくくりました。
ガソリンの値上げ自体も大変ですが、輸送費の値上げが原因でいろいろなものが値上がりしています。今回の措置の効果を見守っていきたいものです。
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2022年01月27日07時18分~抜粋