25年前の12月17日、ペルーの在ペルー日本大使の公邸で、人質事件が発生しました。
4カ月かかって、日本人などの人質は全員無事に解放されました。
また先日アメリカのオーストラリア大使がキャロライン・ケネディ氏になりました。以前、駐日大使をしていた方です。
そこでこの日のCBCラジオ『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』ではCBC論説室の石塚元章特別解説委員が「大使」をテーマに解説します。
外交官のトップ
駐在する外交官のトップが大使です。日本的にいうと正式には特命全権大使です。つまり全部の権利を持っているわけで、イコール日本国でもあるわけです。
現実的には「その問題は本国と調整して」となりますが、法律的にはその場で、自分で決めてもいいという、そのくらいすごいポジションなのです。
ですから「閣下」と呼ばれたり、大使を辞めても「大使」とずっと呼ばれたりします。大使と公使は天皇陛下から認証されます。
大使館とか総領事館とか政府代表部が海外にあって、ひっくるめて在外公館と呼んでいます。特に大使館のトップは大使です。
現在日本が承認している国はおよそ190か国。そのうち8割くらいのおおそ150国に大使館を置いています。
ひとりの大使で周りの大使館を置いていない国を兼務している形があるので、承認している国には事実上大使がいる形になっています。
派遣から常駐へ
大使の歴史ですが、最初は駐在でなくて、派遣という形で始まりました。
ローマ教皇が4世紀くらいから、使いを各地に派遣していました。
また日本では遣唐使、遣隋使として代表を送っていました。すでに日本語では「大使」と呼ばれていました。
近代外交大使のはじめは外交使節団を向こうに住まわせる、つまり常駐させることです。
これはイタリアの都市国家が発達してきた時に、さらに大きな国、フランス、スペインなどに対抗するために、イタリアの都市国家同士で連絡を密にしようと始まったと言われています。その後、この常駐という形がヨーロッパに広がりました。
職業外交官へ
初期の大使は貴族や特権階級の仕事でした。
人脈や情報収集のために会食をしていましたが、この伝統は今でも続いており、大使館には公邸料理人を置いています。
19世紀、20世紀になって、特権階級が大使になるのではなくて、いわゆる職業外交官に変わっていきました。
現在も民間人を送り込むことがあり、アメリカでは外交官の3割が民間人です。
今回アメリカのオーストラリア大使となったキャロライン・ケネディさんも民間人で、。第35代大統領ジョン・F・ケネディの長女です。
大使には様々なルールがあって、相手国の同意がなくてはだめ、好ましくないと思う人は拒否できる権利があります。
そのため誰をどこの国に送るかは、外交政策上の大きなテーマになっているのです。
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2021年12月17日07時27分~抜粋