多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

「衆議院選挙の選挙制度」をやさしく解説します。

10月31日は4年ぶりの衆議院議員総選挙の投票日です。政治、選挙というと「難しい」と感じる人もいるでしょう。あるいは、初めての選挙の人もいるかもしれません。

10月25日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、「衆議院選挙の選挙制度」をやさしく取り上げました。どういう仕組みで衆議院議員を選ぶのでしょうか。

愛知学院大学総合政策学部の教授の森正先生に伺いました。

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465人の衆議院議員

今回の選挙では小選挙区選挙と比例代表選挙が同時に行われ、衆議院議員が選ばれます。

小選挙区では、日本全国を289の選挙区に小分けして289人を選びます。
比例代表選挙では、全国を11のブロックに分けて合計176人を選びます。
両者を合わせて465人となります。

小選挙区制と比例代表制

まずは小選挙区制について。

森先生「小選挙区は北海道から沖縄まで289に分けて、その選挙区から1人ずつ選びます。
われわれ有権者は候補者の人の名前で投票します。その選挙区の中でいちばん得票が多かった人が勝ちという選挙制度です」

次に比例代表制について。

森先生「北海道から沖縄まで11に分けます。このエリアだと東海で愛知、三重、静岡で1つのブロックです。

有権者は政党に投票します。それぞれの政党名の得票率に応じて議席を比例配分します。例えば『この政党は3議席だよね』とか決まると、あらかじめその政党が出した候補者の名簿の上から順番に、3人の当選を決めていきます」

多田「つまり、わたしたちは投票場に行き、小選挙区では候補者の名前を書き、比例代表では政党の名前を書く。2つ投票することになるんですね」
 

真逆の選挙制度

多田「このやり方のメリットは何ですか?」

森先生「小選挙区と比例区は性格が真逆の選挙制度です。
例えば、小選挙区は人を選び、比例区は政党を選ぶ。
小選挙区は1票でも多ければその人が勝ち。比例代表は得票率が少ない政党でも議席が取れる。
小選挙区は大きな政党が有利、比例代表は小さな政党でも不利にならないという選挙制度です。

小選挙区はその選挙区の民意を集約する、ひとつにまとめる。比例代表はそのエリアの民意を鏡のように反映する。集約と反映という別の性格を持っています」
 

小選挙区のメリット、デメリット

多田「小選挙区のメリットは何ですか?」

森先生「メリットはわかりやすさです。
もうひとつは、これを全国でやると大きな政党に有利になります。ある意味、議席も大政党に有利ということで安定的な政権が作られる。もしくは、大きな二つの政党が政権を争うような二大政党制になっていくのでは、と言われています」

その反面、デメリットもあります。

森先生「1票差でも負けたらゼロです。得票率と議席率の間にすごくギャップが生まれます。

4年前の総選挙でも自民党は圧勝しました。小選挙区の75%の議席を獲得しました。しかし得票率は45%です。過半数をとれていません。
ちょっとの得票率の差が大きな議席の差を生むというのがデメリットであり、わかりやすさでもあります。

ただ、お金をめぐる問題は小選挙区制では減ってきています」
 

人か政党か

多田「小選挙区制と比例代表制を同時におこなっているのは、お互いのデメリットを補っているんでしょうか?」

森先生「選挙制度改革の時に、小選挙区制にもいい点悪い点がある。それをカバーするために、真逆の比例代表制をくっつけることで、お互いの弱点を補い合おうとした。それが今の並立制です」

多田「今の選挙制度がどういう性格を持っているか、わかって投票しないといけませんね」

森先生「われわれがそれをうまく活用するという手もあって、小選挙区と比例代表で別の政党に投票するとか、バランスをとることが可能です。
そういう風にどういう選挙制度なのか、候補者なのか、政党なのか、使い分けをするのも活用法のひとつだと思います」

一見複雑そうな選挙制度ですが、性格の違うふたつの制度がくっついているのだと知るとわかりやすいですね。
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2021年10月25日07時21分~抜粋

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