多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

なぜ?わざわざ台風に人の名前を付ける理由

1950年(昭和25年)、西日本に大きな被害をもたらしたという「ジェーン台風」。

歴史の授業で聞いたことがあるという方も多いと思いますが、この「ジェーン」というのは、人の名前です。

日本ではあまりなじみがないですが、実は今の台風も1つ1つに名前が付いています。

10月13日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP•O•N』では、気象予報士でもあるアナウンサー沢朋宏が、台風に名前を付けている理由について、解説しました。

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今も名前が付いている

この放送時点で発生していたのは台風18号だったのですが、これにも名前が付いていて、「コンパス」といいます。

人の名前ではないのですが、その理由は後ほど。

この名前は太平洋を取り巻く14か国で構成される「台風委員会」が付けていて、日本や韓国、中国、北朝鮮、フィリピンなどのアジア諸国だけではなく、グアムやサイパンもあるためか、アメリカ合衆国も含まれています。

そこで付けた名前を共通の呼び方にしましょうというのが目的です(その割には、いまだに日本は数字で台風を呼んでいますが……)。

では、名前はどういうルールで付いているのでしょうか。

現在は、14の国が10個ずつ名前を出して、140個のリストを最初から順番に回していっています。

ただし、中には名前が入れ替えられるものもあり、それは大きな被害をもたらした台風の名前だと、また140個後に台風が来た時に、前回の印象が強く残ってしまうためです。

最近だと、2019年10月に千葉のゴルフ場のフェンスが倒れて大変な被害をもたらした台風15号は、ラオスが出した「ファクサイ」という名前が付いていましたが、今後は使用しないということで、使わなくなることを「引退」と言うそうです。

ちなみに日本が出した名前はすべて星座にちなんだ名前で、先程の「コンパス」は、日本が出した名前で、コンパス座からきています。
 

ハリケーンの名前はどう付ける?

このルールが決まったのは2000年(平成12年)からで、それ以前はアメリカが付けた名前を使っていました。

昔はアジアで起きた台風も、アメリカで起きたハリケーンも両方、名前を付けていました。

2005年(平成17年)にアメリカ本土を直撃した「カトリーナ」という名前に記憶がある方もいらっしゃるでしょう。

最初に言っていた「ジェーン」も女性の名前ですが、昔からアメリカは女性の名前を付けていました。

これは1940年代から続いていた慣例で、自分の妻や彼女の名前を付けていたという、身内だけで楽しむ遊びのようなことを行っていました。

ところが1970年代になり、男女同権が叫ばれる中で、女性の名前だけ付けるのは良くないという風潮になり、男女交互に名前が付くようになりました。

さらに2000年代になり、白人の名前ばかり使っているのではないかという話になり、今はWMO(世界気象機関)が付けた、特定の国や性別などに偏りのない名前が付いています。
 

名前を付ける意味

それなら「日本のように単なる数字での呼び方で良いのではないか?」と思いそうですが、なぜ名前を付けることにこだわるのでしょうか。

その理由について沢は、「自然現象をうまくコントロールしたい、付き合いたい、人類と話し合える相手とみなしたい」という願望が奥底にあるからではないかという考え方を紹介。

しかし、「地球温暖化が進み、気象現象はとてもコントロールできるようなものではない、もっとドライに考えるべき」という意見があり、やがては番号だけになるかもしれません。

ただ、番号だと歴史上印象に残りにくいため、沢は一気象予報士としての意見として、「通常の台風は番号で呼んで、大きな被害が発生してしまった場合は、それを印象付け警鐘を鳴らすため、後から名前を付ければ良いのではないか」と提起しました。
(岡本)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2021年10月13日07時22分~抜粋

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