多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

どんなにかわいくても…キタキツネには触っちゃいけない理由

10月5日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では「エキノコックス」を取り上げました。
寄生虫の一種で、それに関する病気のことも指します。

これまで北海道に多いとされてきましたが、最近愛知県の知多半島などで時々ニュースになっています。

北海道以外の方、また北海道に旅行をする方もぜひ知ってほしい情報について、北海道大学大学院獣医学研究院、病原制御学分野の寄生虫学教室の野中成晃教授に伺いました。

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エキノコックスの生態

エキノコックスと呼ばれる寄生虫はどのくらいの大きさでしょうか。

野中教授「だいたい5mm程度です」

ヨーロッパ、ロシア、アメリカなど北半球に分布しますが、本来はキツネと野ネズミの寄生虫です。

野中教授「キツネは野ネズミを食べて感染します。それがキツネの小腸に何千匹、何万匹と寄生します。
すると親虫、サナダ虫ですが、キツネの小腸に育って卵を産みます。小腸の中で生み出された卵はキツネの糞と一緒に出てきます。

その糞の中にある卵を今度は野ネズミが食べると、その体内で幼虫が育ちます。それを今度は新たなキツネが食べるという生活をしています」

キタキツネと野ネズミの体内を行ったり来たりと循環しており、そのふんには多数のエキノコックスの卵が含まれていようです。
 

感染ルートは?

では、エキノコックスが人間に感染するのはどのようなルートでしょうか。

「人はキツネとか犬の糞の中に出てくる卵を偶然口にすると感染します」と答える野中教授。

野中教授「例えば、山登りをしていて沢水を飲む、あるいは公園で遊んでいて、近くにふんがあり、その中に卵があり、強い風でそれがまき上がり、それを吸ってしまうとか。あるいは、キツネの毛皮を扱う人が毛皮についた卵を吸ってしまうとか」

だから北海道などで山登りをする時は、絶対沢水は飲まないように。
どうしてもという時はいったん沸かして飲むこと。
また山間部でなくても、札幌市内の公園などで土遊びをしたら、必ずその後は石鹸で手洗いするように、ということです。
 

臓器の機能障害

エキノコックスに感染してしまった場合、どんな症状が出てくるのでしょうか。

野中教授「幼虫が人の小腸でふ化して、小腸壁から血管に入って、肝臓、肺に到達します。そこで袋状の構造物になって、それがどんどん増殖していくので、最終的にはその臓器の機能障害が起こって、症状が出てくる。

と、同時に別の細胞が血管の中に入って、他の臓器に転移することが起こります。転移場所によっては、そこの機能障害が起こるので、骨髄、脳などにいくと非常に重篤化します。多臓器の機能不全が起こると死につながります」

感染する確率はかなり低いそうですが、万一感染し、気づかず全身に行き渡ると大変です。
具体的に症状が出るまでどれくらいの期間がかかるのでしょう。

野中教授「感染してから数年から10年以上かかると言われる、非常に慢性的な病気です」

どこで感染したか覚えていないこともあります。それだけにやっかいです。
 

治療法は?

感染して発症した場合、治療法はあるのでしょうか?

野中教授「現在、幼虫を完全に殺す薬はないです。
完治を目指すのであれば、手術をして幼虫組織を取り除くことをしないといけない」

かなり厄介なようです。まずは感染しないように、エキノコックスの卵を口にいれてしまわないよう予防を考えることが一番のようです。

 

キタキツネと遭遇したら

野中教授「北海道の観光地ではキタキツネが出てきます。道の真ん中に出てきてエサねだりをする。車の中から投げたものを食べたりする。それがエスカレートしてあるところでは、観光客がキツネを触れるところもあります。

そういうところではいたるところに看板、パンフレットでキタキツネはエキノコックスを媒介していて触ると感染する可能性があります、と注意喚起されていることもあります」

観光バスでの旅行では、添乗員が必ず注意するのだそうです。

また広大な北海道をレンタカーやバイクで走行する方も多いでしょう。
そんな時、出くわしたキタキツネが人間に慣れていて近寄ってくるケースもあります。
こういう時も気安く触ることは避けなければいけません。

ちなみにエキノコックスは北半球の各地に分布していますが、人口に対して10万人に1人の発生だそうです。
かわいいキタキツネですが、十分に気をつけましょう。
(みず)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2021年10月05日07時19分~抜粋

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