多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

ゲノム編集で品種改良したトマトが販売開始。安全性は大丈夫?

先日、「ゲノム編集」の技術を使ったトマトの一般販売が始まりました。ゲノム編集の食品が日本で出荷されるのはこれが初めてです。

いわゆる遺伝子組み換えとの違いや、安全性はどうなのでしょう。

9月21日放送の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、「ゲノム編集食品」について甲南大学の特別客員教授の田中修先生に伺いました。

[この番組の画像一覧を見る]

ゲノム編集とは?

まず、ゲノム編集とはどういう技術でしょうか。

田中先生「言葉どおりゲノムを編集する技術です。
遺伝子とは生き物の形や性質を決めるものです。ゲノムとは遺伝子を中心として親から子に伝えられていく遺伝情報全部をいいます。

特定の遺伝子に人間が手をくわえて、その遺伝子をよく働かせるようにしたり、働かさないようにしたりするのがゲノム編集です」
 

GABAが多いトマト

今回販売されたトマトは、どのようなゲノム編集がされているのでしょうか。

田中先生「今度販売されたトマトではGABA(ギャバ)という物質を多く作らせるため、作らせないようにしていた遺伝子を働かないようにしました。

その結果、GABAがたくさんできるトマトができました。

GABAはストレスを減らしてリラックス効果があります。血圧が上がるのを押さえたりします。人間に都合がいいのでそれをたくさん作らせるようにしました」
 

遺伝子組み換えとの違い

遺伝子組み換えとはどう違うのでしょうか。

田中先生「ゲノム編集はもともとその生物が持っていた遺伝子を触ります。
一方、遺伝子組み換えは、他の生物がもっていた遺伝子を入れて性質を変えます。

有名なものは、例えば除草剤をかけても枯れない大豆とか、食べた虫が死んでしまうとうもろこしとかがあります。

もともと大豆やとうもろこしはそういう遺伝子は持っていません。そこでそういう遺伝子を他の生物から取ってきて入れたのが遺伝子組み換えという技術です」

言葉どおり、ゲノム編集は編集であって、決して組み換えはしていないということです。
 

安全と安心

遺伝子組み換え食品は危険性が報道されていますが、気になるのはゲノム編集食品の安全性です。

田中先生「今までやってきた品種改良の中で、突然変異が起こったことを利用して品種改良をしているということは普通の方法でずっとありました。それとほぼ同じです。

他の遺伝子を入れたわけでなくて、自分の持っている遺伝子に何かが起こってできただけですから、一応、技術的には安全とみなされています。

ただ、安全とみなすということと、多くの消費者の方が安心と取られることとは別です。

幸いにも、今度の場合は『これはゲノム編集食品である』と表示してくれています。だから不安に思われる消費者の方は買わないという選択があります」

それが本当に安全か、それが安心になるかどうかはもう少し時間をかけて見るということです。
 

身の多い真鯛

将来、トマト以外にどんな食品ができるのでしょうか。

田中先生「先日届け出が終わったのが、鯛の食べる身の部分を1.2倍に増やしたものです。『身の多い真鯛』というタイトルで数年以内には出ると思います」

野菜だけでなく動物でもあるそうです。
 

利用価値が大きい技術

これがスムーズにいけば、これからゲノム編集食品はたくさん生産されそうです。

田中先生「人間に都合のいい食品にしていくので、安心とわかれば利用価値は非常に大きいです。

しかも遺伝子を触って植物の性質を変えるのは歴史的にすごい技術なので、大切にしていった方がいいと思います。
それが生態系に及ぼす影響は、安全安心をチェックしないといけません。

すごい技術なので、2020年にはこの技術を開発した人がノーベル化学賞をもらっています。世界では評価されています」

ゲノム編集と遺伝子操作の違いがよくわかりました。今後のニュースにも注目ですね。
(みず)
 
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
この記事をで聴く

2021年09月21日07時21分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報